水晶山(すいしょうざん)
 〜山麓に水晶を産するのが山名の由来という〜標高798m〜
 飯田市箱川にある美しい名前の山。頂上の案内看板によれば、その名の通り山麓に水晶を産し、実際それが山名の由来というが、水晶は現在では一般の採取は禁じられているとのことであり、具体的な産出箇所についても筆者には現時点で詳細不明である。そもそも『長野縣町村誌 南信篇』の「米川村」の項中、この山に関する関係記述を参照しても、水晶を産出するということ自体、まるで述べられていないことからして、産出量が僅少で特記するほどのものでもなかったのか、はたまた外部者の盗掘防止等のため意図的に産出の事実を隠蔽したのか… いずれにせよ同書の編纂当時において既にして、この件に関してはオフレコ扱いだったものらしい。
 この山、三遠南信自動車道の飯田山本IC付近から望むと、やや扁平なピラミッド状の端正な山容が良く望まれ、一見相応に登り甲斐がありそうな山に見えるのだが、その実、頂上部が「水晶山公園」になっているので、北山麓の「大須」あたりから標識に従って林道を車で上がれば、ほとんど頂上まで車で上がれてしまうという手軽さ。もっとも「公園」といっても、特別目立った施設があるわけでもなく、また頂上からの展望も事前に山容から想像されるほどには良くなく、せいぜい樹間に飯田市街等が望まれる程度であるが、ただ頂上の一角に巨大な花火の筒が据えられているのには目を惹かれる。付近の案内看板によれば、何でも新年の夜にここから花火を打ち上げるのが「名物」になっているとのことで、地元の人々には結構親しまれている山のようだ。ちなみに『長野縣町村誌 南信篇』の「米川村」の「名勝」の項には、この山について「竹佐にあり、月に名あり。」と記されているので、案外、日中よりも夜間の訪問向きな山なのかも知れない。なお、この山に近い別掲の城山(久米ヶ城址)もサンセットポイントとして知られており、夏場の月夜など両山セットで夜間訪問というのも面白い趣向かも…?

 ← 水晶山を望む(三遠南信自動車道飯田山本IC付近より)

【緯度】352705 【経度】1374640