虫倉山(むしくらやま)・小虫倉(こむしくら/小虫倉山城址)
 〜山姥伝説もある素朴な好峰〜標高1,378m(虫倉山)・1,269m(小虫倉)〜
 長野市からほど近い、中条村にある山。一見地味な山ながら、善光寺平の南東側から遠望すると、陣場平山の西に、かなり顕著なピークの山容を見せる秀峰。また、地元の人々の生活や信仰と密着した山でもあるらしく、筆者には特に少年時代に民話の本で読んだ、この山にまつわる山姥伝説が印象に残っている。
 登山ルートはいくつもあるが、筆者は「岩井堂観音」から「小虫倉」経由、約2時間で登頂した。小虫倉の頂上には山姥伝説のある山らしく「大姥神社」の祠が祀られており、静かで素朴な雰囲気だが、樹林に囲まれ展望はない。ちなみにこの山、郷土出版社刊『定本 北信濃の城』によれば、中世の山城址(小虫倉山城址)でもあるとのこと。(注:ただし長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』には記載なし。) 別掲の萩野城などと同様、戦時における村人の避難場所として設けられたらしい、この地方に多くみられる高地の城の一つであるという。
 小虫倉から虫倉山の頂上に通じる尾根は一転して岩尾根となっており、結構スリルも味わえる好ルート。しかも心地好い汗を流して達した頂上からは、晴天下なら北アルプス後立山連峰や戸隠連峰、荒倉山などが望まれ、疲れなど一気に吹っ飛ぶことだろう。

 ← 虫倉山の一角の岩峰(「岩井堂観音」方面より)

【緯度】363859 【経度】1380108