城山(じょうやま/小牧城址)
〜信濃国分寺跡と千曲川を隔てた対岸の山城址〜標高750m〜
上田市小牧のすぐ南の背後にある、戦国時代の山城址(小牧城址)の山。「山」としても「山城址」としても地味で目立たない存在であるせいか、一般にはあまりその存在が意識されていないようだが、実は有名な信濃国分寺跡と千曲川を隔てたすぐ対岸に位置している。長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』によれば、この城は「上の城」と「下の城」に分れ、別称を「小田牧城」というとあり、また南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)には「村上氏の出城か。一説に木曽義仲の要害という。」とある。国土地理院の地形図上は山名表記がないが、『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』の城館跡一覧表によれば、小牧城址の所在地(旧地名)は「城下村大字小牧字城山」とあり、また『長野縣町村誌 東信篇』の「小牧村」の古跡の項にも「上ノ城」として「村の南の方、城山の山上にあり。頂上一平地、東西五間、南北六間、高さ凡四町餘、南の方、稍高くして山に連る。堀切あり、往古の物見跡なるべし。」とあることから、本項紹介用の山名もこれらに従い「城山」とした次第。
この山に訪れるには、上田市下丸子に近い長瀬集落付近の依田川に架かる依田橋あたりから、北西の丘陵上にある「須川湖」方面を目指して車で上がるのが最も判り易いだろう。須川集落付近で車道が「須川湖」畔を通過する少し手前の右手道路脇に、注意していれば「小牧城跡登山口」との標識を見出せるので、後はそれに従って行けばよい。なお、この標識より先にも、ある程度までは車での進入も可能だが、道は細いし、また距離的にもさほどでないので、地元の人に迷惑をかけないためにも、標識付近の路傍に駐車していった方が無難だろう。道はじき車道と分れて畑の中を通るが、ほどなく突き当たって道が二手に分かれる。ここで右へ行けば三角点のある小牧城「上ノ城」址に達し、左に行けば付近の最高点(770m)に達するが、どちらも筆者の訪問時点では特に標識もなく、きわめて地味な雰囲気の場所であった。(注:もっとも、ここでは混乱を避けるため、三角点のある峰の方を一応「頂上」とみなし、標高もそちらのそれを記したところ。)時間的には登山口の標識から三角点地点までなら、ほんの15〜20分程度もあればよい。頂上付近には特別山城址らしい遺構が目につくでもなく、また頂上の周囲も樹木が邪魔をして展望も今ひとつだが、それでも落葉期なら樹林越しに上田平や、その背景をなす山々がかろうじて望まれよう。
← 地味な雰囲気の城山頂上(三角点のある小牧城「上の城」址)
(須川集落の東の749.7m三角点地点が、本項で紹介する小牧城址です。)