虚空蔵山(こくぞうさん/伊勢崎城址)
〜上信越道上田菅平ICに近い山城址〜標高673m〜
上信越自動車道を小諸から上田に向けて走る際、上田菅平IC手前の「上田ローマン橋」にかかると、道が左にカーブしていく右手のすぐ先に、小さいが、ちょっと気になる不思議な存在感を有して鎮座している山。一見、何の変哲もない里山ながら、この存在感は、絶対何かいわれのある山だと思って調べてみたら、まさしく然りで、戦国時代の「伊勢崎城」という山城の址であったらしい。もっとも、その詳細な歴史については、現時点で筆者の手元の文献中には明瞭に記載されているものがなく、また現地にも特に案内看板の類もないことから、本文記述時点では残念ながら不明であるが、その形態から、おそらくは主に戸石城の前衛として物見か狼煙台の役割を果たしていたものではないだろうか? ちなみに南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)によれば、別掲の戸石城の出城かとある。また『長野縣町村誌 東信篇』の「上野村」中「古跡」の項には、『村の辰巳の方字上野原の巽の隅に在て、堆く、東南岩石峙ちて神川に臨み、西南の方數十町、瞭然目下にあり、何人の據る事を詳にせず。一説眞田信幸曾て此に在と云ふ。今宇賀ノ神社を鎭す。』とある。
この山の登り口は、上田市内の神科集落側から北へ山麓に向かい、上信越自動車道を渡ってすぐの所。そこで右にコンクリート舗装の細い道が上がっているので、そこを行くと、ひとまず登り切ったへんで左手に延びる山道があるので、そこに入る。後は踏み跡を拾いつつ、途中石祠に一礼したりしつつ頂上まで。登り口からほんの20分程度で、意外なほどあっけなく頂上三角点に達する。そこは人里近い城址ながら、上掲した『長野縣町村誌 東信篇』の記述中にある「宇賀ノ神社」の跡地であることを示す小さい石碑がある以外には、前述の通り史跡の案内看板もなく、樹林に囲まれた地味な場所だが、城郭の遺構はそれなりに確認可能。また途中の山稜の樹間からは、例の「上田ローマン橋」あたりの上信越自動車道など、上田市街の各所が俯瞰できる。
← 虚空蔵山を望む(「上田ローマン橋」付近より)