女山(おんなやま)
 〜玄人向きの静寂峰〜標高1,734m〜
 男体山と女峰山、夫神岳と女神岳、というごとく、山容の対照的な二つの山を男神・女神として信仰する例は全国に数多いが、南佐久の男山・女山また然り。男山が鋭利な岩峰の男性的な山容を見せているのに対し、女山はなだらかで女性的な山容を見せている。
 となると、普通に考えれば、前者より後者の方が容易に登頂できそうに思えようが、これが案外そうでもないのだ。というのは、前者には明瞭な登行路がいくつかあるのに対し、後者には特にはっきりした登山道もなく、また人気もないように見受けられるからだ。
 しかし、そのことは反面、同山があまり人の手に汚されず、静寂な雰囲気を保っているということでもある。この点、いってみれば「玄人」好み(または私のような「変わり者」好み)の山ということができよう。
 ただし、この山に登り道がないというわけではない。「道」はちゃんとある。ただ、それをうまくつかまえられるかどうかだ。実は筆者はうまくいかず、南斜面の林間の獣道のような踏跡をたどり、上部ではヤブ漕ぎを強いられるハメとなった。が、いざ頂上に着いてみれば、私が登った斜面よりやや西寄りの尾根上に、結構はっきりした道形があったから、おそらくはその尾根をたどれば無難に登頂できるのだろう。
 南佐久郡川上村から信州峠に向かう道を車で飛ばし、右に女山が変わったあたりで、右に分かれる細い林道に入ると女山の南山麓へと導かれる。この道、結構ダートのため、どこまで車で入れるかはわからないが(筆者の場合、たまたま積雪で前途を遮られ、結果、前述の通りの奮闘となった次第)、とにかくこの山の南に派生する尾根筋をつかまえるようにされたい。なお、もし仮にそれに失敗しても、晩秋から初春にかけてのブッシュの薄い時期ならば、がむしゃらに登りつめても登頂可能だろうから、すぐに諦めないでほしい。筆者の場合、頂上まで約2時間を要した。静かで落ち着いた頂上。

 ← 女山(東側の山稜上より)

【緯度】355618 【経度】1383127