明巖山(みょうげんざん)
 〜小粒ながら鋭利な山容と特徴ある山名〜標高1,127m〜
 佐久の物見山(別掲)の西にある山。標高的には物見山より200m以上も低く、また物見山から北の八風山(別掲)方面へと延びる「妙義荒船林道」からも西に大きく外れた位置にあるためか、案外注目されることの少ない山のようなのだが、その実、小粒ながら地形図上からも一目瞭然の端整で鋭利な岩峰の山容を有し、またそんな姿に相応しく、一見していかにも険しそうな印象を受ける「明巖山」という特徴ある山名など、筆者のような寂峰趣味の者には大いに惹かれるものがある山だ。
 この山に登るには、まずは佐久市街地から志賀川沿いの道をさかのぼって「志賀牧場」方面へと向かう。途中「吉巾(よしはば)池」のすぐ先で左に分れる細い車道に入り、1kmも走らない所でさらに左に分れる「志賀山林道」の入口に至るが、この林道にはゲートがあるので、車はここまで。付近のスペースに他車の迷惑にならないように駐車し、以後は徒歩で、しばらく同林道を緩く下りつつたどる。と、進むにしたがい左前方に、目指す明巖山の山容がきわめて良好に見渡せるようになってくる。その姿たるや、前述の通り小粒ながら鋭利な岩峰で、ことに左手の山稜など、ほとんど垂直な露岩の箇所もあるので、思わず一抹の不安をおぼえてしまう向きもあることだろうが、いざ行ってみれば、ルートさえ誤らない限りは、筆者のごとき巨漢でも比較的安全な登行が可能なので御安心の程を。林道は明巖山の手前で終点に達するが、さらに小道が先に延びているので、そのままたどり、じきに山稜に突き当たったら、そこで左手に巻くように続いている小道から離れ、山稜に取り付き直登するのがルート。か細い踏跡を拾いつつ、一旦右手の鞍部に出て、さらに最後の急斜面を登りつめると頂上に達する。そこは周囲が樹木に囲まれ、山容の割に展望は利かず、高度感も希薄という意外と地味で狭い頂上ながら、三角点標石の他に素朴な石祠が1基祀られ、落ち着いた雰囲気で好感の持てる場所だ。
 以上、「志賀山林道」ゲートから頂上までの所要時間は、まあノンビリ歩いても1時間程度みておけばよいだろう。なお、下りは往路を忠実に戻ることとし、万一道が怪しくなったら無理をせず上に引き返すこと。さもないと、絶壁の縁に飛び出してしまう恐れがある。

 ← 明巖山を望む(「志賀山林道」より)

【緯度】361451 【経度】1383423