黒柏木(くろかしわぎ)
 〜鏡台山の南東にある静寂な峰〜標高1,199m〜
 坂城町と上田市(旧真田町)との境にある変わった名の山。別掲の鏡台山(注:北信エリアで紹介中)から南東に派生する山稜の続きに盛り上がっている峰で、国土地理院の地形図上には山名の記載がないが、坂城町・坂城町教育委員会発行『さかきふるさと100選』所収の里山コースガイドによれば「黒柏木」とその名が明記されている。(注:他の資料によっては「黒柏木」としているものもあるが、本稿では当面地元坂城町の発行文献の表記を尊重し、あえて「山」は付さずに紹介する次第。)
 この山の登り口は、別掲の鳩ケ峯と同じく「和平高原」にある坂城町と旧真田町の境の峠。したがって、アプローチは鳩ケ峯の場合と同様、長野市・旧真田町境の「新地蔵峠」から2km少々南に下ったところで右に分れる林道に入り、途中の分岐を左(坂城町方面)に折れ、さらに1kmほど走って、件の峠まで上がる。そこには明瞭に登り口を示す標識があるので、まず見逃すことはあるまい。目指す黒柏木へは、ここから北西の尾根通しに上がれば、徒歩ほんの30分ほどで頂上に達することができるが、そこは三角点もなく、ただ展望不良の樹林の中、標識があるだけの地味で狭い場所ゆえ、憩うなら頂上よりはむしろ、そのやや手前の列状間伐地あたりに腰を下ろす方がよいだろう。そこからなら、列状間伐で広く開けた樹間に間近く虚空蔵山や、またその背後に遠く端整な蓼科山の姿などを望むことができる。
 ただ、この山、実は位置的には鏡台山への中継点的な場所にあたり、普通なら鏡台山とセットで訪れるべき山なのであろうが、筆者の場合、たまたま時間的な制約等により、この山のみ単独で往復したため、本文記述時点ではまだ残念ながら黒柏木から先の鏡台山までの尾根筋の道をたどってみたことがない。いずれ、そちらも踏査してみたいと思っている。
 なお、この山の近辺には熊が多いらしく、筆者の訪問時には道脇の樹幹に熊の爪痕がやたらと目についた上、途中でたまたま出会った茸採りの人も、その年に既に2〜3度もこの山中で熊を目撃したとか言っていたほどなので(!)、訪問時には少なくとも熊避け鈴などの対策必須、さらに心配な向きには数人パーティーで行動するとよいだろう。

 ← 黒柏木頂上(狭く、展望もない静かな場所)

【緯度】362940 【経度】1381245
(和平の北にある1,199m標高点峰が、本項で紹介する黒柏木です。)