城山(じょうやま/小泉上の城址)
 〜岩鼻の西にある知られざる好峰〜標高933m〜
 別掲の半過岩鼻の西に聳える山。その名からして、例によって戦国時代の山城址かと思い、いざ頂上に上がってみたら、なぜか山城址につきものの空堀や切岸などの遺構がまるで見あたらなかったので、不思議に思って下山後に調べてみたところ、本郭址があるのは三角点のある最高点ではなく、その南の峰であることが判った。ちなみにこの情報を提供してくれたのは、本サイトでも各所に紹介している長野市内の山道具屋「OKスポーツ」の社長さんで登山家の丸山晴弘氏。したり、彼に聞いてから行けば良かったと後悔したが、そうは言っても「山」というのは、あまり事前情報を収集し過ぎても面白くないので… まあ、たまにはこんなことがあっても仕方がないということか。なお、小泉城に関しては、南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)によれば、戦国時代の天文年間に甲斐の武田氏が侵攻した際、その勢いに恐れをなした城主の小泉重成は自ら城を壊し、近くの室賀城を誘って降伏に出向いたとある。また、長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』によれば、この城址には「上の城」と「下の城」があり(注:ここで紹介するのは「上の城」の方)、上の城の遺構範囲は先の本郭址があるという南の峰にとどまらず、三角点峰をも含む結構広い範囲に及んでいる。となると、最高点の三角点峰は本郭背後の後詰の砦か物見がおかれていたところか。
 もっとも、この山、そういった歴史的興味を抜きにして訪れてみても、結構登り甲斐もあり、また山中随所からの展望も良い好峰。筆者は上半過集落から前掲の岩鼻こと「千曲公園」へ登る道を行き、丁字路を千曲公園方面とは逆に右へ少々上がったところにある「No.130」の送電線鉄塔の巡視路を利用して登った。No.130送電線鉄塔敷では、周囲に樹林の障害がないだけに、眼下に上田平の俯瞰や、またその周囲に鎮座する太郎山、虚空蔵山、烏帽子岳、独鈷山など、この付近の好峰の数々の展望が素晴らしい。そこから道は更にNo.129の鉄塔方面へと続き、樹間に北の坂城町方面を時折良好に望める気持ちよい尾根道を行けば、やがて三角点標石のある頂上に達する。ここまで登り口から所要時間約1時間半。樹間に南の上田原あたりが俯瞰できる、人の気配も少ない静寂な頂上だ。なお、この山、例によって茸山のようなので、秋季の訪問は避けた方が無難。

 ← 小泉日向の城山頂上三角点(人の気配も少ない、静寂な頂上)

【緯度】362426 【経度】1381056