ぶどう岳(ぶどうだけ)
 〜武芸者になじみの「ぶどう峠」のすぐ北の山〜標高1,622m〜
 北相木村の東、上信国境の「ぶどう峠」のすぐ北約500mの地点にある山。「ぶどう峠」は「武道峠」ともいい、その名から柔剣道などに親しむ者にはなじみの地であるようだが、実際の名の由来はどうなのだろう? 現地に行ってみても、峠の名が彫られた立派な碑と、道中安全祈願の素朴なお地蔵様があるだけで、特に武道にゆかりの物があるわけでもないし、筆者などはむしろ山葡萄の方を連想してしまうのだが… いずれにせよ、興味を惹かれる地名であることだけは確かだ。
 そのせいか、峠の知名度はそこそこあるようだが、そのすぐ北にある山の方は、通常ほとんど見向きもされないようだ。三角点もないし、また特に登り口の標識があるわけでもないので無理もあるまいが、それでも実際に現地に訪れてみると、稜線上には案外明瞭な踏み跡が通じているし、また途中には短いながら楽しい岩稜伝いの登りがあるなど、結構良好な雰囲気の山域なので、もっと注目されてもよさそうな気がする。
 で… この山への登り口は、前述の通り特に標識もないが、ぶどう峠のやや信州寄りの法面の熊笹の中に、まるで獣道のような踏跡が上がっているので、そこから取り付くのがいいだろう。最初のうちは丈の高い熊笹のトンネルをかきわけて進まなければならないが、踏跡ははっきりしているし、またしばらく進めば、じきに熊笹も減るので問題はない。そのうち岩場に突き当たったら、左から回り込み、明るく爽快な岩稜を乗り越える。さらに小さいアップダウンを経て、最後に樹林の中を登りつめると静寂な頂上に達する。峠からの所要時間はほんの30分ほど。

 ← ぶどう岳登り口の「ぶどう峠」(峠名の碑とお地蔵様あり)

【緯度】360407 【経度】1383834