1,018m峰(「大久保山」西の標高点峰)
 〜寂峰ながら味わい深く見逃し難い岩峰〜標高1,018m〜
 佐久市と佐久穂町との境界上にある、本文記述時点で山名不詳の寂峰。この山より800mほど東にある1,108m三角点峰の方は、現地で「大久保山」とか「富士腰パノラマ台」等と呼ばれているのに比べ、すぐ近くにありながら存外不遇な存在のようだが、いざ実際に訪れてみれば、なかなかどうして、結構スリルのある岩稜など、意外とアルペン的な顔を見せてくれる山なのだ。また、佐久市から国道141号線を南下していくと、旧臼田町を過ぎるあたりで、左手に先の「大久保山」と仲良く並んで結構目立つ山容を見せてくれることから、筆者など、いつもそのあたりを車で通過する際、国土地理院の地形図上には山名表示がない山にもかかわらず、いつかあそこに訪れてみたいものだと常々思っていたものである。
 この山に登るには、地形図上は上曽原集落の東にある池あたりから点線道の表示があるが、筆者の場合、たまたま行った時季が悪く、登ろうとしている所に通りかかったハンターらしい人に、今日はこの山で鉄砲撃ってるから危ないと脅かされたため、やむなく別ルートから適当に見当をつけて登らざるを得なくなった上に、本来なら併せて訪れてみたかった「大久保山」の方には訪れられずに終わってしまった次第。もっとも、前述したスリルのあるアルペン的な岩稜とは、その適当に見当をつけて登ったルートのことであるので、巡り会わせとは面白いもので… もし、筆者がハンターらしい人に出会わず、そのまま地形図にあるルートをたどって行っていたら、ここで紹介する1,018m峰の真価を見出すことができなかったかも知れないし、挙句の果てには鉄砲玉が飛んできたかも知れないのだ…(!)
 そんなわけで、ここでは当面その、筆者がたどったルートを紹介してみたい。アプローチは佐久市から国道141号線を南下し、佐久穂町に入ってほどなく千曲川を「栄橋」で対岸の右岸側に渡り、羽黒下の街中から「平林山津金寺千手院」の方へ延びる道に入って、同寺前からは右へ進み、上曽原集落のすぐ北の上の尾根を乗り越すあたりのスペースに車を駐める。ルートはここから山稜に取り付くのだが、この山稜、地形図上は1,018m峰の頂上より150mほど西にある岩峰から南東に派生しているもので、本来の登山ルートではないらしく、最初は薮がちな中の進行を余儀なくされるが、構わず進むと、そのうち薮は薄くなる代わりに急登となる。ここは適当に登り易そうなところを選びつつ、尾根を外さずにぐんぐん登って行くと、その上部で前述の通り岩稜が現れる。ここが本ルート中、最もアルペン的な爽快さと良好な眺めを楽しめる箇所で、特に南方の茂来山や小海町方面の眺望がよい。そしてともかく登り切って一段落ついた所が、前述した1,018m峰の頂上より150mほど西にある岩峰の頂上で、ここも結構雰囲気は良いが、展望は浅間山方面が樹間に望める程度。1,018m標高点の頂上へは、この岩峰の右手を巻くように道があり、ほどなく達する。頂上自体は樹林の中で展望不良の場所ながら、そこもまた露岩の上にあるので、寂峰趣味の向きには結構味わい深い頂上ではないか。
 以上、駐車場所からの所要時間は、帰途は往路を戻るとすれば、駐車場所からは約1時間半程度で往復できるだろう。なお、時間が許せば帰りには是非山麓の「平林山津金寺千手院」に立ち寄っていってみたいもの。その名の通り千手観音を祀る寺で、仁王門の金剛力士像や本堂の天井画など、大いに見応えがある。

 ← 1,018m標高点峰(右)を望む(左は「大久保山」/千曲川畔より)

【緯度】361000 【経度】1383030
(平林の東、上曽原の北東の1,018m標高点峰が本項で紹介した峰です。)