能郷白山(のうごうはくさん)
〜素朴な、もう一つの「白山」〜標高1,617m〜
この地方には2つの「白山」がある。一つは有名な加賀の白山、そしてもう一つがこの能郷白山だ。両者とも僧泰澄の開基になる、白山信仰の山だが、前者が標高2,700mを越すのに対し、後者は標高1,600m程度と、かなりの隔たりがある。それでもなお、両山とも「白山」と呼ばれるに至ったのは、両山とも、麓から見上げると周囲の他の山々より長い期間、雪を戴いているためらしい。
登山口までのアプローチは、北陸自動車道の福井ICから国道158号をたどるまでは、別掲の経ケ岳や荒島岳の場合と同じ。大野市から国道157号に入って、経ケ岳の場合とは逆に南へ走り、「温見峠」まで上がる。そこが登山口。
登山口からは、約2時間で頂上に達する。登行開始後しばらくは目のくらむような急登が続くが、時期さえ合えば路傍にカタクリの美しいピンク色の花の群落が気を紛らわせてくれることだろう。また、急登を突破すると、今度はネマガリダケが出てくるので、これまた時期さえ合えばタケノコという山の幸にあずかることができよう。ちなみに筆者が訪れたのは5月中旬で、カタクリとタケノコに同時に出会えた。もっとも、タケノコはまだ小さく、無理に掘り取って長さを揃えて持ち帰り、タケノコ汁にしてみたが、根元の部分はさすがに硬い筋ばかりで全く美味くなかった。
← 能郷白山頂上(「熊野白山権現社奥社」の祠を望む)