位山(くらいやま)・船山(ふなやま)
 〜一帯は太古日本文明発祥の地との説も〜標高1,529m(位山)・1,479m(船山)〜
 位山は飛騨高山に近い、いかにも位の高そうな名前の名山。実際、かつて山中のイチイ(一位)の木を笏の材料として京の都に奉献したところ、位を賜ったのが山名の由来という。そんな歴史性を有する山だが、最近ではより壮大な形での「歴史性」が取りざたされている。というのは、飛騨高山あたりは太古日本文明の発祥の地であり、神代日本の神都が所在した地であるとかいう説が、いつの頃からか一部の人々の間で、まことしやかに言い伝えられており、その証拠の一つとして、ここ位山山中の巨石遺構があげられているからだ(!)。もし本当だとすれば、教科書の歴史など全面的に書き換えられねばならないような話。半信半疑で実際にこの山を訪れてみると、確かに山中には「○○石」等命名された露岩の類が結構見られるのだが… 筆者の目には、頂上近くの「天の岩戸」なる巨石が一応何らかの祭祀遺跡に見えた程度だったのだが… うーん…? しかし、火のない所に煙は立たないともいう。同じ飛騨でも、有名な「両面宿儺」(りょうめんすくな)の伝説などもあることだし、多かれ少なかれ、この山が太古日本において有意味であったことだけは確かなようだ。
 さて、この山に登るには、高山市に近い宮村から「ダナ林道」を終点まで入る。「飛騨一宮水無神社奥宮」の石碑と石鳥居のある脇が登山口。そこからは「天の岩戸」経由約1時間で頂上に達する。ちなみに天の岩戸から頂上までの間の平坦な山稜は「高天原」と呼ばれているが、ここの雰囲気は相応に神域めいている。頂上付近からは間近に別掲の川上岳などが見渡せる。
 なお、この位山のやや南東に、船山という山がある。この山と、先の位山や別掲の川上岳とを併せて「位山三山」といい、これら三山にまつわる面白い神話が伝わっているが、その内容は別掲の川上岳の項に譲るとして… この山、その名の通り、船に見えないこともない比較的平坦な山容を見せる。頂上には船山神社が祀られ、古くから庶民の信仰を集めていたことが知れるが… しかし今では、山腹の「舟山高原スキー場」あたりから、ほとんど頂上近くまで車道が駆け上がり、さして汗をかくこともなく登頂してしまう。また特段展望が良いというわけでもなく… この山、残念ながら「山」としては、かなり魅力に欠けていると言わざるを得ない。が… そうは言っても「位山三山」の1峰、飛騨の名山の一つであることには変わりないので… 位山に付属させる形で、あえて収録した次第。
 これらの山々の登山口までのアプローチは、筆者の場合は国道19号を南下して、坂下から下呂経由で高山に向かう道をとったため、結構な時間を要したが、今は「安房トンネル」が開通したので、ずっと短時間で高山まで出られる。

 ← 「天の岩戸」(位山山中)

【緯度】360217 【経度】1371148
(緯度・経度は位山に合わせてあります。船山はその東、やや南寄りに位置しています。)