小城頭(こじろがしら)
 〜泰阜村の知られざる美しき双耳峰〜標高1,040m〜
 この山を最初に世に紹介したのは、丸山晴弘氏の『山旅湯旅ふたたび』(ケイシイシイ刊)がおそらく最初ではないかと思う。同書中のこの山に係る部分の記述を見ると、丸山氏がいかにこの山に愛着を抱きながら筆を執っているかが、ありありと伝わってくる。それゆえ筆者が、あらためてこの山をここに物知り顔に紹介するのは、何かおこがましいような気がして、実は若干躊躇したのだが… しかし、今ではさらに同氏の新著『信州魅力の山と湯』(信濃毎日新聞社刊)にもとりあげられ、結構人口にも膾炙してきていると思われるので… 思い切って掲載してみることにする。
 この山の所在は、飯田市よりもさらに南の泰阜村。JR温田駅あたりから、東に「万古隧道」経由で車を走らせると、そのうち漆平野の集落に出る。丸山氏の場合、ここからさらに小黒山集落まで入り、東に尾根をたどって833m三角点峰経由頂上まで至るコースを紹介されているが、そうは言っても全くそれと同じでは面白くないので、筆者は漆平野からさらに車で栃城の集落まで至り、そこから国土地理院の地形図に表示のある道伝いに登ってみることにした。
 しばらくは地図上の道通りに進んだが、やがて頂上から南南西に派生する尾根の末端に達し、見るとかすかに踏跡らしきものがある。さればとて、ここで本来の道を外れてダイレクトに直登。最後は東から回り込むようにして登頂。登山口から約1時間を要した。なお、この山、遠方から見ると、丸山氏が「カンテガ」に譬えた鋭利で美しい双耳峰をなしており、どうせなら両峰登りたい。最高点は西のピークだが、三角点は東のピークにある。西峰から東峰まではほんの10分程度もあれば行ける。

 ← 小城頭の頂上岩峰(三角点峰寄り山稜上より)

【緯度】352045 【経度】1375328
(1,034.5m三角点の西約300mほどのピークが「小城頭」の頂上です。)