蛇峠山(じゃとうげやま/蛇峠狼煙台址)
 〜間近に望む大川入山が印象的〜標高1,664m〜
 別掲の大川入山とは「治部坂峠」を隔てた反対側にある山。大川入山の南東に位置し、距離的にも比較的近いことから、山中からの展望的には、当然その大川入山の姿が最も印象的だろう。「蛇峠」などという、どこか恐ろしげな山名に興味を魅かれるが、いざ訪れてみると、頂上近くまで車道は駆け上っているわ、頂上付近には美ヶ原の王ケ頭みたいに無線設備が設置されているわ、挙句の果てには頂上はだだっ広く、展望台があるが、どこが最高点なのかよく判らないわで、先の大川入山に比べると、山としての雰囲気は残念ながら大幅に劣ると言わざるを得ない。
 ただ、無線設備や展望台があるということは、要するに周囲の見晴らしが利く山ということの裏返しでもあり、そのことだけは今も昔も変わりない。そして、そういう山はえてして中世の山城の構築場所ともされているもので、ここ蛇峠山の場合も、長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』によれば、「蛇峠」の名で城郭扱いとして収録されており、甲斐の武田氏の手になる狼煙台が頂上部に設けられていたようである。(注:ただし、位置及び築城者は推定とのこと。また、城郭名が「蛇峠」では山名とも紛らわしくサマにならないので、本項では『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』の城館跡一覧表の備考欄の記載から、便宜上当面「蛇峠
狼煙台址」として紹介することにした。なお、後日、より適当な呼称が見出せた場合は修正する。)
 そんな山ゆえ、もし行くなら、間近の大川入山の展望を楽しみに、あまり肩肘張らず、ノンビリ登るがいいだろう。登山の所要時間的には短いので、他の山のついでに訪れてもよい。ちなみに筆者は、別掲の富士見台に訪れた後の余り時間を利用して訪れた。天候は生憎の雨天だったが、途中で幸運にも雲が切れ、件の大川入山の姿が望め、思わず快哉を叫んだ次第。治部坂峠からこの山に向けて上がる車道をゲートアウトされるまで車で入り、以後は徒歩で頂上へ。ゲートから頂上まで約1時間。

 ← 蛇峠山方面より望む大川入山(雨天下、幸運にも雲が切れた一瞬)

【緯度】352029 【経度】1374117