八尺山(はっちゃくやま)
 〜奥深そうだが案外人の生活臭濃い〜標高1,219m〜
 長野県も南端に近い、阿南町の門原集落の西にある寂峰。変わった山名に心魅かれるが、国土地理院の地形図に道の表示はなく、よほど人の生活とは隔絶された山かと思いきや… いざ登っていってみると、山林作業の杣小屋の跡らしい石垣や、生活用水にしていたものか、明らかに人工的な小池や、さらにその上部には、山の神の祠か何かの遺構らしい、四角く整形された台座石みたいな工作物などがみられ… 案外、人の生活の臭いが強く感じられるのに驚いた。長野市のような都会化した場所から、いきなり訪ねると深山のイメージが強く感じられるが、この地域に暮らす人々にとっては、むしろ身近な生活と密着した山なのかも知れない。
 筆者はこの山に登るのに、国道151号を南下し、「和知野ダム」あたりで右に分かれ、和知野川沿いに上和合の集落まで入り、さらにそこから北に食い込む林道を遡った。林道は結構上部まで延びており、この山から西北西に派生する尾根にぶつかるあたりの広場に駐車、そこから尾根に取り付いて登行開始。道はちゃんとある。途中、前述したような山林生活の痕跡を見つつ、ちょっとしたアップダウンの道をたどると頂上。駐車場所からここまで1時間ほどで到達可能。頂上周辺は植林の中で展望は今一つだが、途中の伐採地からは北に中央アルプスなどが遠望される。
 
(注:この山名の読み方については、三省堂『日本山名事典』2004年版には「はっしゃくやま」とあるが、丸山晴弘氏著『山たび湯たび』には「はっちゃくやま」とある。本項では当初、前者で紹介していたが、その後、国土地理院の地形図に後者のルビが付されたのを機に、本項も後者に改めた。)

 ← 八尺山を望む(上和合からの林道上より)

【緯度】352020 【経度】1374557