弁当山(べんとうやま)
 〜南アルプス南部の山々を間近に望める〜標高981m〜
 阿南町にある、面白い名前の山。山名の由来は現時点で筆者には定かでないが、何となく長閑な山歩きの中、皆で草原に腰を下ろして弁当箱の蓋をあけるといったような光景を連想してしまう。実際、頂上一帯は「弁当山公園」として整備され、南アルプス等の眺望に優れる展望台も設けられているので、地域の児童生徒の遠足等にもしばしば利用されているようだ。もっとも「公園」だけに、細いながら頂上近くまで一応林道が通じており、その気になれば車で上がれてしまう。実は筆者もその手で家族と共に「登頂」した次第。およそ「山」と名がつく以上、あまり楽して訪れるのも「山登り」としては些か気がひけるが… しかし長野市在住の筆者にとって、阿南町のこの山はさすがに遠く、歩いて登るほどの時間的余裕に乏しかったのもまた事実。まあ、一口に「山」といっても、そこに訪れる人には様々な事情があるものゆえ、多くの山々の中には、この弁当山みたいな山もまた必要なのだと思う。
 さて、そんなわけで、この山に訪れるには、とにかく阿南町へと車を走らせ、「弁当山公園」の標識を頼りに林道「田上線」に入り、後はひたすら上を目指すのみ。もっとも最初のうちは道は細いわ、鬱蒼とした林の中で薄暗いわで、車といえど少なからず心細いが、高度が上がるにしたがって雰囲気が次第に明るくなり、最後に大型の展望台の直下に達して車道終点。車を駐め、一気に展望台に駆け上がると… 晴天下であれば周囲には南アルプス、中央アルプス、御嶽山、八尺山、蛇峠山、茶臼山… と素晴らしい大パノラマが展開する。殊に普段案外目につかない南アルプス南部の山々を比較的間近に望めるのが特長。しかもそのような大展望を、手軽な山だけに、あまり時間を気にせず堪能できるのも、この山の見逃せない魅力だと思う。

 ← 弁当山頂上展望台からの眺望(南アルプス連峰北部を望む)

【緯度】351919 【経度】1374744