朝倉山(あさくらやま/朝倉山城址)
 〜知る人ぞ知る八ヶ岳連峰絶好の展望台〜標高1,087m〜
 別掲の桑原山や金毘羅山と同様、ここもまた甲斐の武田氏にからむ戦国時代の山城址(朝倉山城/朝倉城、塩沢城とも)の山。こじんまりとはしているが、一目で山城址と判る台形状の山容が目を惹く。南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)等によれば、かつて甲斐の武田氏に属した塩沢氏の居城であり、地理的に小県及び佐久に対する重要な関門だったとのことだが、主に狼煙台として用いられていたものらしく、特に実戦は経験していないようだ。しかし、そんな歴史もさることながら、この山には、それ以上に捨て難い魅力があるのだ。それは、頂上本郭から東にわずか下がった東郭から、東方に雄大に拡がる八ヶ岳連峰の大展望。晴天下であれば、北は蓼科山から、南は西岳あたりに至るまでの大パノラマの迫力に、ついついその場に置かれたベンチに腰掛け、長居してしまうことだろう。しかも、それほどの山なのにもかかわらず、案外訪れる人は少ないようで、かくも美しい八ヶ岳の眺めを、雑踏を気にせず心ゆくまで堪能できるのが嬉しい。
 この山へは、茅野市から蓼科高原方面に車を走らせていけば、そのうち左手に張り出している尾根上に顕著な山城址らしい峰を見出すことができよう。付近には「信玄公ゆかりの地 朝倉山城跡(塩沢城)」との案内板もいくつか立てられているので、注意さえしていれば見逃すことはあるまい。登り口は東麓にあるが、駐車スペースはほとんどないので車の駐め方に要注意。獣害除けのためらしい防護柵を紐を解いて押し開け、登り出す。そこから頂上の本郭址までは約30分ほど。円形の土塁を巡らした、いかにも狼煙台らしい本郭で、片隅に石祠が1基祀られている。東郭からの眺めの良さは既に述べた通り。また本郭の南には、二の郭、三の郭、不動郭と続き、付近には素朴な石祠や石仏が散在している。

 ← 朝倉山を望む(東側山麓より)

【緯度】360220 【経度】1381244