要害山(ようがいさん/要害城址)
 〜武田信玄生誕地の伝説ある山城址〜標高780m〜
 かの有名な甲斐の武田氏の館の後詰として築かれた山城(要害城)址のある山。その名の通り格好の要害の地であっただけでなく、一説には、この山の頂上で武田信玄が誕生したといい、頂上にはそれを示す碑まである。本当だろうか…? 筆者は訪問前は、所詮は伝説に過ぎないだろうと軽く考えていたのだが、実際に現地に訪れてみたら全く印象が変わった。というのは、周囲を土塁で囲まれた頂上主郭部は、とても山の頂上とは思えないほど広く、かつ平坦に整地されており、中ほどには庭石とおぼしきものまで残っていることからして、かつては結構立派な館が構えられていた可能性があり、それなら仮にそこで武田信玄が誕生したとしても、別段違和感はないからだ。まあ事の真偽はともかくとしても、少なくともこんな具合に戦国の昔に想いをはせることができるわけで、登山の対象というよりは、むしろ歴史スポットとしての価値の方が高いかも知れない。いずれにせよ、十分訪れてみる価値はある山だ。
 登山口までのアプローチは、筆者の場合は中央高速道を甲府昭和ICで下り、甲府市街を抜けて武田氏居館跡の武田神社まで走って左折、「積翠寺」付近の登山口に至った。登山口は「要害温泉」の入口付近にあるが、駐車スペースはきわめて狭いので、車を駐められない場合は、それよりさらに上に車を走らせ、裏側の登山口から登った方がよいかも知れない。ここでは筆者の登った要害温泉からのコースの概略を記す。登山口の説明板に一通り目を通して登行開始。わずか上がると国史跡の境界標石があり、併せて要害山の赤松林は「やまなし森林100選」に選定されていることを示す看板を見出す。確かに見事な赤松林の中をさらに登ってゆくと、そのうち竪堀や郭、門跡の石垣や土塁など、山城の遺構が目につき始めるが、それらはいずれも相当程度の規模を誇り、さすがは武田の城址、また国史跡だけのことはあると思わせる。何度か門跡や郭を突っ切って登ると、やがて頂上の主郭址に達する。登山口からここまで、途中の遺構をゆっくり観察しながら上がったとしても1時間まではかからない。

 ← 要害山(手前は武田氏ゆかりの積翠寺)

【緯度】354211 【経度】1383554