大山(おおやま/和美)
〜上信越道「大山トンネル」直上の峰〜標高1,183m〜
軽井沢町の南東の「和美峠」に近い、上信国境からわずか上州寄りに入ったところの、群馬県松井田町と下仁田町との境界線上にある山。別掲の日暮山の東、愛宕山の南に位置し、日暮山と同様に上信越自動車道のトンネルの名にもなっているので(「大山トンネル」)、名前だけは御存知の向きも案外多いかも知れないのだが、例によって実際に訪問する向きは少ないようだ。ちなみに、同じ関東エリア中の丹沢山系にも同名の山ががあり紛らわしいため、見出しには混同を避ける意味で、所在地名を付して紹介している。(注:当初は他との区別の便宜上、山名の前に所在地名を冠し「和美大山」として紹介していたが、本来の山名でない呼称が流布するのは好ましくないと思われたため、上記のような紹介方法に改めた。)
ちなみに筆者がこの山に訪れてみたいと思ったきっかけは、先の日暮山の頂上付近から、この山の結構堂々とした端整な姿を妙義連峰の前衛に望んだことだった。それほどの山だから、きっと明瞭な登山道があるものだと思いきや… いざ登り口とおぼしき和美峠付近に訪れてみても、さすがにマイナーな山らしく、少なくとも筆者の訪問時点では標識はおろか、テープの目印も見当たらず。
やむなく、ある時点で登山道探索は諦め、地形図上で検討の結果、和美の別荘地への入口付近から、群馬県の横川方面に少し下りたへんの道路脇の、車2〜3台程度駐車可能のわずかなスペースのある地点に車を駐め、そこから右手の樹林に上がり、後は稜線伝いにほぼ真南へ頂上を目指して登ってみることに。と… 当初は薮漕ぎ覚悟で林内に踏み込んだものの、意外にも下草はきわめて薄く、歩行にほとんど支障がなかったばかりか、稜線に取り付いたら明瞭な踏跡があり、当初の想像よりは案外容易に登行することができた。とはいえ、さすがに形の良い山だけあって、道は登るにしたがって猛烈な急登となるので、特に雨後など地表が不安定な場合には多少の難渋を余儀なくされざるを得ないだろう。
そんなアルバイトの末、ようやく達した頂上は、山容の爽快さとは裏腹に、樹林に囲まれ展望不良の上、何かの標石と山名標示板があるだけという、いささか地味な場所。が… そこまでわざわざ登っていくほどの者は、おそらくは余程の山好きであろうし、特に静寂な山好みの向きには、大いにその雰囲気を楽しめることだろう。頂上までの往復所要時間は、せいぜい2時間程度もみておけばよい。
なお、踏跡は頂上から北西に派生する稜線上にもあるので、帰りはそれをたどってみるのもよいが、その場合は途中、枝尾根がいくつか分かれているので、元の駐車場所に戻るには、分岐ごとにルートを右手にとっていくこと。晴天下ならば、すぐ北にある愛宕山を目安とし、同山を常に正面におくようなつもりで下っていけば、下部では若干踏跡不明瞭な箇所もあるものの、難なく車道に下り立つことができる。
← 和美峠付近の大山を望む(愛宕山麓の別荘地内より)