塔ノ岳(とうのだけ)・丹沢山(たんざわさん)
〜蛭ケ岳と共に丹沢山塊の代表的存在〜標高1,491m(塔ノ岳)・1,567m(丹沢山)〜
塔ノ岳は丹沢山塊中で、首都圏の登山者を中心に最も人気が高い山であり、また同峰の北稜線伝いにあり、山塊の名をそのまま山名に冠するのが丹沢山。両峰はいずれも丹沢山塊の代表的存在の山でありながら、共に主峰という訳でもなく、いわばお互いに補完しつつ、全体として「丹沢」のイメージを作り上げているようだ。
そのせいだろうか、丹沢山塊中において、深田「日本百名山」では蛭ケ岳の標高を記し、深田クラブ「日本200名山」では丹沢山の標高を記し、日本山岳会「日本300名山」では塔ノ岳を丹沢山塊の代表峰として選定している。つまり、「百名山」「200名山」「300名山」のそれぞれが、それぞれ異なった峰を1峰ずつ、同山塊の代表としてピックアップしているが、全体的意味での「丹沢」としては、それぞれ1峰扱いで仲良く帳尻が合っている形になるわけだ。この点、越後の荒沢岳のような奇妙な問題(なぜか300名山に選定されなかった)は生じていない。ちなみに、毎日新聞社編の『日本三百名山』では「丹沢山」とし、標高は蛭ケ岳のそれを記している。
このような状況に対する解説としては、深田久弥氏の「私が百名山の一つに丹沢山を取りあげたのは、個々の峰ではなく、全体としての立派さからである」との言葉が、最も当を得ているものといえよう。
さて、塔ノ岳と丹沢山の両峰は、片道ほんの1時間程度しか離れていないので、長野から日帰りでも両峰の頂上を踏むのは十分可能。登山道はいくつもあるが、筆者の場合は「大倉尾根」の東に食い入っている林道を終点まで車で遡り、そこからまず「天神尾根」「大倉尾根」経由で塔ノ岳に登り、次いで稜線伝いに丹沢山に登って、往路を戻った。所要時間は塔ノ岳までが約2時間、そこから丹沢山までが約1時間ほど。その間、例によって多くの鹿の出迎えを受けた。登山口までのアプローチは、神奈川県秦野市までは別掲の大山の場合と同様。国道246号から大倉方面に向かい、登山口へと続く林道に入る。もっともこの林道、現在も一般車通行可能だろうか?
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