桜山(さくらやま)
 〜その名の通り桜の名所として名高い〜標高591m〜
 群馬県藤岡市(旧鬼石町)にある、その名の通り桜の名所として知られている山。しかもその桜、地元発行のパンフレットによれば、冬と春の2度楽しむことができるという、他所ではあまり例のない珍しい桜の名所であるとのことで、「ぐんま百名山」の1峰にも選定されている。
 特に冬に咲く「冬桜」は、12月初めに全山満開となり、例年この時期に「桜山祭り」が開催されているとのこと。頂上の案内板によれば、冬に咲く桜は全国的にも珍しいのだそうで、上毛かるたにも「三波石と共に名高い冬桜」と詠み込まれ、昭和12年には国の「名勝及び天然記念物」に指定されたが、昭和42年の山火事で一旦は桜の半ばを焼失。しかし、その後の近隣住民の植栽・育成努力により、現在では往時の雰囲気を取り戻しつつあるという。ちなみに筆者が訪れたのは1月で、やや時季外れではあったが、それでもその時点で結構多くの冬桜の花々が残っていた。
 また、頂上には、見るからに古い緑泥片岩の板碑が1基建てられている。現地案内看板によれば、これは何と南北朝期のものであるとのこと。地元では昔から虚空蔵菩薩として拝まれてきたそうで(注:もっとも実際には、この碑の表面には胎蔵界大日如来を表す梵字が刻まれている)、それゆえこの山は古来地元の人々には「虚空蔵山」と呼ばれてきたという。このことから、単に桜の名所ということのみにとどまらず、この山が古くから信仰の対象として、地域の人々に親しまれてきたことを知ることができる。
 この山に訪れるには、上信越自動車道「藤岡IC」か、又は関越自動車道「本庄児玉IC」から、まずは旧鬼石町方面へと向かう。旧鬼石町内で国道462号線に入り、しばらく南下すれば、ほどなく右手に桜山への案内看板を見出せるはずだ。案内看板に従って右折したら、後は道路標識に注意しながら上へと上がっていけば、そのうち桜山の北側にある駐車場に着くので、そこに駐車し、後は徒歩で頂上に向かう。もっとも駐車場から頂上まではほんの400〜500m程度歩けばよいので、ゆっくり歩いても15〜20分ほどで登頂することが可能だが、それだけではいかにも味気ないので、是非、桜の咲いている時季に訪れ、ノンビリ美しい花々を愛でながら山中を散策することをお勧めしたい。頂上からの展望は樹木に遮られたりして今一つパッとしないが、登山道中途の山稜上からは、西に御荷鉾山あたりをよく見渡すことができる。

 ← 桜山(頂上北側の駐車場付近より)

【緯度】360941 【経度】1390117