碧岩(みどりいわ)
〜ザイル携行で楽しむ静寂な山域〜標高1,120m〜
この岩は、昭文社の山と高原地図『西上州・妙義』(内田^一氏調査執筆)に「バリエーションルート」として紹介されているもので、頂上直下の険しい岩場が若干難しく、訪れる人の身のこなし如何によっては結構危険ルート。筆者の場合、別掲の妙義山の項でも延べたごとく、決して身が軽い方とはいえないので(注:物理的にも、技術的にも)、さて行こうかどうしようかと迷ったのも事実だったが… しかし例の昭文社地図のガイド小冊子に掲載された、この岩の写真が、あまりに素晴らしく、登行欲をそそるものだったので、意を決して、とうとう訪れてしまった。しかし… さすがにここは少々、手強かった。小冊子の記述内容から、念のためサブザックの中には30mザイルを忍ばせて行ったのだが、下山時にアブザイレンでしっかりそのお世話になることになった… そんな岩だから、結構怖かったかといえば、これが案外そうでもない。怖いということなら別掲の妙義山の方が余程怖い。このことは、おそらく岩場の危険箇所が比較的短いことによるのだろうが、それ以上に、ザイルの威力の素晴らしさを物語る、ひとつの典型的事例といえようか。
そんなわけで、これから訪れようとされている方で自信のない場合は、9oの30mもの程度で十分なので、念のためザイルを携行されたい。筆者の場合、それで下山時アブザイレン2本でこと足りた。仮に使わなかったとしても、持つと持たないとでは、下りの心配をしなくて済むだけ、行動中の安心感には雲泥の差があるはずだ。
登山口までのアプローチは、南牧村の「羽沢」集落までは別掲の立岩の場合とほぼ同様にたどるが、こちらは羽沢よりさらに先(西)の「勧能」に車を走らせる。そこで「田口峠」方面への道と分かれて「熊倉」方面へと向かうと、じき「居合沢」の出合に出る。そこが登山口。それから「三段の滝」経由で稜線上につめ上げ、南から回り込んで岩稜を急登すると頂上。登山口から頂上まで約2時間。急峻な岩の頂点だけあって、山麓を俯瞰すると足がすくむ思いがするが、周囲に小潅木が茂っているせいか、それなりに安定感はある場所だ。ちなみに筆者が訪れた際には、意外にも、ここでアカヤシオの花の出迎えを受け、感激してしまった。
← 碧岩(居合沢上部の登行ルートより)