曲岳(まがりだけ)
〜やや小粒ながら変化に富む鋭峰〜標高1,642m〜
別掲の茅ケ岳・金ケ岳のすぐ東に位置する、何やら意味あり気な鋭峰。「曲岳」などという妙な山名が災いしてか、はたまたすぐ西の茅ケ岳が「日本百名山」の深田久弥氏終焉の地として有名すぎるせいか、地元山梨県以外ではあまり人口に膾炙していない山のようだが、実際に登ってみると、急峻な岩稜伝いあり長閑な樹林の中の山稜歩きありと結構変化に富み、頂上からの展望もツボを押さえている好峰で、「山梨百名山」の1峰に選定されている。なお、山名はどうやら山容からきているようだ。
筆者はこの山に登るのに、中央高速道の韮崎ICから「昇仙峡ライン」をたどり、下福沢集落あたりで左に折れて登山口の「観音峠」まで車で上がった。登山道は最初こそ穏やかに始まるが、そのうち「めまい岩」なる岩稜にかかり、その縁を左手からトラバースして岩上に出る。そこからは西に例の茅ケ岳方面の眺めが良好な代わり、文字通り「めまい」のしそうな急峻な岩上ゆえ、長居せず先に進んだ方がよかろう。それから先も若干緊張させられる岩場があるが、慎重に乗り越えつつ高度を上げ、樹林の中の最後の急登を登り切ると頂上に達する。登山口からここまで1時間弱。案外周囲を樹木に囲まれ、予想したほど開放的ではないが、樹間から奥秩父連峰の瑞牆山あたりや、また南アルプス鳳凰山あたりが望まれる。
なお、帰りはこのまま引き返したのでは味気ないので、是非別掲の黒富士や升形山にも回っていくといい。曲岳から「八丁峠」経由で黒富士と升形山に訪れた上、八丁峠から林道に下りて観音峠の駐車場所まで歩いて戻る周回コースをとれる。所要時間は全行程でも4時間ほど。
← 曲岳を望む(中央のピーク/左後方は茅ケ岳と金ケ岳/黒富士より)