天狗山(てんぐやま)
 〜頂上直下の「白倉神社」は天狗の霊地〜標高667m〜
 群馬県甘楽町にある、「ぐんま百名山」の1峰である山。天狗信仰で有名な「白倉神社」が頂上直下にあり、むしろ「山」としてよりも、そちらの方で知られているようだ。実際現地の山麓に車を走らせてみると、案内標識の表示が「お天狗山」となっていることからして、古くから由緒ある天狗様の信仰の地であるようだ。天狗信仰は主に修験道と結びついて発展し、一般には五穀豊穣の守護神とされているので、この神社も、おそらくはそんな意味合いをもって、地域の人々から大切に祀られてきたのであろう。
 この山に訪れるには、上信越自動車道「富岡IC」から、県道46号線を東へ向かい、「小幡」交差点に突き当たったら右折。そのまま南へ3〜4km走れば、そのうち上述した「お天狗山」の案内標識を路傍に見出せるだろう。
 登山ルートは何条かあるようだが、筆者は「轟登山口」からのコースから訪れてみた。鬱蒼とした杉や檜の植林の中の道を標識に導かれながら登って行くと、やがて稜線上の頂上方面と「白倉神社」方面の分岐点に出るので、まずは左へ進み、頂上を往復していこう。分岐点からわずかで到着するが、頂上自体は、側面に「図根」と彫られた三角点標石が埋設されている他には何もなく、周囲も樹林に囲まれて、展望もない地味な場所。それゆえ、ここではあえて長居する必要もなく、むしろ頂上直下の「白倉神社」境内で休んだ方が得策だろう。
 「白倉神社」へは、一旦先の分岐に戻り、次いで標識に従って急坂を下る。ほどなく道が平坦になると、すぐ先の断崖の縁に社殿が危うげに建っているのを見出せる。実際に目の当たりにする分には結構迫力ある情景なのだが… 残念なことには前景の樹木が邪魔をして、写真撮影してもあまりパッとした画像にはならない。ともあれ、一種独特な風格あふれる社前に一礼して内部を除くと、巨大な天狗の面が壁に掛けられているのにまた驚かされる。さらにここでは狛犬の代りに天狗の石像が威厳たっぷりに来訪者を出迎えていたり、木製の巨大な奉納剣が多く見られるなど、なかなか他では見られない光景が連発して大いに興味深い。

 ← 天狗の像(天狗山中の「白倉神社」にて)

【緯度】361208 【経度】1385523