観音山(かんのんやま)
 〜頂上付近の「高崎白衣大観音」で有名〜標高227m〜
 群馬県高崎市にある里山。頂上付近にある「高崎白衣大観音」で有名であり、通常「山」として認識されることはあまりないかと思いきや、現実には「ぐんま百名山」の1峰に選定されているなど、地元の人々にとっては「山」「霊地」「憩いの場」「体験学習・自然観察フィールド」など、様々な意味で大切な場所であるようだ。
 この山に訪れるには、長野県側から向かうなら、上信越自動車道を「松井田妙義IC」で下りて国道18号線に入り東へ、安中市経由で高崎市まで走るのが順路であろうか。国道17号線に突き当たったら右折し、1kmほど走ったところの「和田橋」交差点でさらに右折、「烏川」に架かる「和田橋」を渡り、後はそのまま直進して高度を上げれば「高崎白衣大観音」近くまで車で行くことができる。
 駐車場に車を駐め、まずはこの山の「霊地」としてのシンボルともいえる「高崎白衣大観音」に拝礼していこう。この純白の観音像は、戊辰・日清・日露戦役における戦没者の供養等のため、昭和11年10月に建立された、コンクリート造、高さ41.8m、内部9階に達するという巨大なもので、内部には多くの観音や菩薩の像が配置されている。内部の拝観は有料だが、ここに来たら、折角だから観音内部の9階まで上がり、周囲の展望を楽しみたいもの。そこの窓からは、眼下に高崎市街の俯瞰はもとより、上州の名峰・赤城山等を望むことができる。
 白衣大観音の拝観を終えたら、今度はその背後にある三角点地点に上がってみよう。そこが標高227mの観音山最高点だが、三角点標石がある他には、ブロンズ像が1基と、ベンチがあるだけの案外地味な場所。(もっとも、先の白衣大観音像が、この山の「霊地」としてのシンボルだとするならば、最高点の三角点標石は、いわばこの山の「山」としてのシンボルということになろうか。) 白衣大観音前から三角点地点までは、距離わずかに100m弱、そのため、そこに上がるよりも、むしろ白衣大観音の内部を9階まで上がる方が汗をかくかもしれないという、ある意味妙な「山」ではあるが… それはともかく、後は折角だから、時間が許せば白衣大観音像の向かいにある、大観音建立50周年を記念して建設されたという「千体観音堂」(慈眼院本堂)にも拝礼していくとよい。
 なお、この山、幼い頃の筆者にとっては、長野から東京への行き返りに電車が高崎付近にさしかかると、車窓から西の山上にいつもその観音像が望まれて興味を惹かれていたものである。その頃の情景を脳裡に思い描いて感慨を抱く信州人は、今も案外多いのではあるまいか。(もっとも、現在の新幹線の車窓からは、建物が邪魔をしているのか、どうもその姿を望むことができないのが、ちょっと寂しい気がするが…) また、当時はこの山中に「カッパピア」という遊園地が営業しており、可愛いカッパのキャラクターまで作られていて結構楽しかったものだが、施設の老朽化や大衆娯楽の変化に伴う来客の減が進んだせいか、2003年(平成15年)11月末に惜しくも閉園となってしまった。筆者は奇しくも、そこが閉園になるということなど全く知らないまま、偶然、その年の3月頃に一度、家族で訪れたことがあるのだが… 季節のせいもあってか、来客はまばらで閑散としており、我が子がメリーゴーラウンドに乗って廻っている様子を眺めながら、何かたとえようのない寂しさが胸中に吹き抜けていくような感覚を如何ともし難かったのを、今、この紹介文を記しながら思い出している。

 ← 「高崎白衣大観音」(観音山頂上付近にて)

【緯度】361838 【経度】1385847