蛭ケ岳(ひるがたけ)
〜丹沢連峰の最高峰〜標高1,673m〜
筆者は山で何が嫌いかといえば、第一にヒル(ヤマヒル)、第二にハチ。ことにヒルは、以前南アルプス南部の聖岳登山道でやられて、真っ青になって登山を断念し逃げ帰ったことがある(よりによって雨が止んだ直後に現地に入り込んだ筆者もバカだった)。
その、恐るべきヒルを山名にしている山は、実は丹沢連峰中の最高峰なのだが、筆者としては、うっかりここを訪れれば、山名からして、どうもまたヒルに襲われそうな気がして、しばらく二の足を踏んでいた。しかし、ある時点で思い切って訪れてみたところ、案外ヒルのヒの字もなく、代りに多くの鹿の歓迎を受け、すっかり良い気分になって帰ったという、登山前と登山後の印象の相違がきわめて著しかった山。
この山へのアプローチは、筆者は中央自動車道を南下し、大月JCTから御殿場方面に走り、国道246号経由で玄倉川沿いの「ユーシン渓谷」まで車で入った。「ユーシンロッジ」付近に駐車、そこからしばし林道をたどり、次いで「棚沢ノ頭」「鬼ケ岩」経由で登頂。そこまで約3時間を要した。帰りは直に「熊木沢」伝いに下りるルートをとり、無事登山口まで帰着。
なお、玄倉(くろくら)からユーシンまでの「玄倉林道」は、ガイドブックによれば夏期は一般車通行禁止になるとのことだったので、これから訪れる向きには注意されたい。ちなみに筆者は、5月の連休明けの、それも月曜日に休暇をとって訪れたせいか、山中では「蛭ケ岳山荘」の小屋番以外、一人の人にも出会わず、代りに既述の通り、多くの鹿の出迎えを受けるという、非常に長閑で静寂な山行だった。
← 蛭ケ岳頂上にて(コバイケイソウ群落)