城山(しろやま/和田之城址)
 〜財宝埋蔵伝説もある知られざる山城址〜標高694m〜
 信州新町にある、知られざる戦国時代の山城址(和田之城址)の山。この山に近い「牧之島城址」の方は、三日月堀など甲斐の武田氏の築城手法が覗える城の縄張り等で比較的有名なのだが、和田之城址の方は、歴史ファンでもあまり知らないようだ。実際、筆者が最近の山城歩きのバイブル的に用いている南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)にも記載がない。しかし地元では「和田之城」は集落名にもなっており、遠足の目的地にもなることがあるようで、結構知名度は高そうだ。ただ、見たところ規模的に本城クラスでなく、支城か狼煙台の類だったことは確かだろう(注:長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』には、牧之島城支城とある)。また、集落名になるほどだから人里近く、頂上直下まで車で入れるので、歩行時間は本丸址までほんの10分程度もあれば十分。
 登山口までのアプローチは、国道19号線から信州新町「鹿道」のあたりで分れて犀川を対岸に渡り、下中山集落の中に続く細い車道を上がっていくと、やがて和田之城址まで1,200mと記した標柱があるので、それに従い右折。登り口は和田之城集落の神社の向かいに見出せる。そこから本丸址までは前述の通り短距離だが、筆者の訪問時には、人があまり訪れないせいか、道には多少夏草がはびこっていた。三角点標石が埋設されている本丸址は、存外展望が良く、殊に信州新町の中心部から、その手前の牧野島城址あたりが一望の下。
 なお、この山には、ひとつ興味をひく話がある。頂上にある案内標柱によれば、古来この地に「朝日さす夕日輝く和田之城 雀のこおどり三足半なか 漆千倍 黄金千倍 朱千倍」という歌が伝わっており、これは和田之城落城の折、再興のために埋蔵した財宝の在処を示す暗号なのだという(!)。興味のある方は、謎解きに挑戦してみてはいかがだろうか?

 ← 和田之城本丸址(三角点標石が埋設されている)

【緯度】363226 【経度】1375849