天神山(てんじんやま/天神山城址)
 〜天神様が祀られる小さく素朴な里山〜標高670m〜
 長野市小田切の「仏工伝」集落付近にある、戦国時代の山城址(天神山城址)の山。その名のごとく、頂上に天神様(菅原道真公)を祀る天神社がある。もっとも地形図上には山名表示も神社表示もなく、わずかに小田切地区への入口にあたる道路脇など数箇所に設置されている同地区観光協会の案内地図看板上にその名を見出せる程度で、おそらくは地元の人を除き、ほとんど訪れる人もないと思われる、静かで地味な山。
 そんな山だけに、当然文献上にもこの山に関して参照することのできる記事は少なく、頂上の城址にしても、現時点で筆者の手元にある最も詳細な信州の城郭に関する参考文献である長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』にすら収録されておらず、わずかに『長野縣町村誌 北信篇』の「塩生村」の古跡「天神山の城」の項に「村の西北にあり城主名不詳。」と記述されているのが見出せるのと、『長野市誌』第12巻資料編の「第3編 城館跡・条里」の一覧表中に「天神山城跡」として収録されている記事中に「塩生地区の仏工伝集落背後の尾根頂部にあり、現在天神社が祭られている長方形の削平地が主郭と思われる。」とあるのが見出せる程度。
 そこで、この山に登るには、前述の小田切観光協会の案内看板などを参考にしつつ、とにかく同山麓の「仏工伝」集落付近に車を走らせる。小田切地区の集落は、山懐深く散在しており、車道も細めなので都会育ちの向きには運転には要注意。天神山は「仏工伝」集落のすぐ上の小淵集落から、ほんの300mしか離れていない近くにあり、大きく右にカーブしている車道脇に「庚申」の石碑がある地点の向かい側に、車1〜2台分程度のスペースがある地点が登り口。特に標識はないが、そのスペースに駐車し、後はその先に延びる小道をたどれば頂上に達する。地域の小さい里山ゆえ、駐車場所から頂上までの所要時間は、ほんの10〜15分程度と手軽。頂上手前には山城址の郭の遺構と思しき小広い平地があり、山名のごとく天神社が祀られている頂上はそのすぐ上。ちなみに筆者の訪問時点では、頂上ですら山名標示板はおろか天神山城址の説明看板も見当たらなかったが、頂上部の一角には明瞭な段郭の遺構が見出せるので、素人目にもそこが山城址であったことは漠然と想像できる。樹林で展望は利かないが、いかにも地域の里山らしい素朴な頂上だ。

 ← 天神社のある天神山頂上(天神山城の主郭址)

【緯度】363809 【経度】1380626
(仏工伝集落のすぐ西の峰が、本項で紹介する天神山城址です。)