天狗山(てんぐやま)
 〜目立たぬ山だが無視すべからざる存在感〜標高920m〜
 上水内郡信州新町の山穂刈あたりにある、こじんまりとしているが端整な容姿の山。かつて善光寺地震で川が堰き止められて生じたという「柳久保池」のちょうど真北あたりにある。「山」としてはほとんど目立たない存在ながら、不思議と無視すべからざる存在感を漂わせている。
 この山へのアプローチは、信州新町の中心街の東にあたる国道19号線「奈津女橋」の交差点から小川村方面への峠道に入り、途中でさらに「萩野高原」方面に折れ、越道を経由し、さらに奥の山穂刈方面に道なりに走っていけば、そのうちこの山の北の肩あたりに達することができる。そこから頂上まではわずか200mほどなので、頂上まではほんの10〜15分程度も登れば十分。道形もちゃんとあるが、例によってあまり人が訪れないとみえ、季節によって取っ掛かりがやや草薮が深い。頂上には特に標識もないが、周囲に土塁とおぼしきものが見られることから、あるいは戦国時代に狼煙台でも設けられていたものか(注:もっとも『長野縣町村誌 北信篇』の「山穂苅村」の項や、また長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』等には、これを裏付ける記載はない。ただ、近くには「萩野城址」や「黒岩城址」などの山城址が散在している)。三角点標石は最高点ではなく、それよりやや東の縁のへんに、ひっそりと埋設されている。なお頂上は樹林に囲まれ展望はあまり良くないが、登り口付近からは北アルプス餓鬼岳方面などが望まれる。

 ← 天狗山を望む(登り口付近より)

【緯度】363443 【経度】1375707