高山(たかやま)・よしの山(よしのやま)
 〜米子不動里宮裏手に連なる峰々〜標高1,140m(高山)・977m(よしの山)〜
 須坂市の亀倉あたりから東に望まれる、破風岳・土鍋山方面から西に派生する米子川と灰野川に挟まれた尾根上には、一般にはあまり知られていないが、その実、一度目につけば、その存在感を無視し得べからざる峰々がいくつか存在している。ここに紹介するのがそれ。
 これらの峰々、例によって地形図上は山名も道の記載もない。しかし… 筆者はこれらの存在に気付いた途端、山名も判らないままに無性に登ってみたくなり、首尾良く両峰とも登頂して下山した後に、南西麓の米子集落付近で農作業をしている地元の人に尋ね、初めてそれらの山名を知ることができたのだった。その地元の人の話によれば、向かって右(東)の峰をタカヤマといい、タカヤマは「高山」で、付近で一番高い山だからそう言うとのこと。また、左(西)に見えるやや低い峰をヨシノヤマといい、これは平仮名で「よしの山」とのことだが、山名の由来については特に注釈はなかった。
 これらの山々に登るには、須坂市の豊丘町から「豊丘ダム」方向へと車を走らせ、「林道栃平線」に入る。ダムより800mほど手前の分岐を右に折れてダム方面への道と分れ、さらに東へ1kmほど上がったへんで林道が左に大きくカーブする地点が登り口。そこはちょうど両峰間の鞍部にあたり、西に登れば「よしの山」、東に登れば「高山」に行ける。
 どちらから登るかは気分次第だが、ここでは筆者の訪問順により「よしの山」から解説する。送電線巡視路の標識がある所から林内に入り、すぐに左の斜面に取り付いて尾根伝いに登りつめる。尾根上には案外明瞭な踏跡があるので心配ない。露岩もあるやや急な登行しばしで、三角点標石のある頂上に着く。樹林に囲まれ展望はないが、筆者が訪問した6月初めには、付近にミツバツツジの花々が見られ、存外明るい雰囲気だった。
 一旦、駐車場所に戻り、次いで「高山」へ。途中までは送電線巡視路を利用して登る。じきに送電線鉄塔のある地点を通過するが、ここで後ろを振り返ると、先刻登った「よしの山」が意外と端正な三角錐状の山容を見せているのに驚く。さらに踏跡をたどり、露岩もある稜線を登りつめると頂上。こちらは先刻の「よしの山」と違って三角点もなく、標識一つない原始色濃い頂上。樹間に根子岳などが望まれる、静寂で好感の持てる場所。
 以上、両峰訪れる場合の所要時間は、筆者の場合は2時間程度を要した。なお、これらの山々は、ちょうど米子不動里宮の裏手にあたることから、時間に余裕があれば、行きか帰りに里宮を参拝していくのも一興であろう。

 ← よしの山(左手前の峰)と高山(右奥の峰)を望む(山麓の米子集落付近より)

【緯度】363648 【経度】1382223
(豊丘ダムの南の1,201m標高点の西約400mのピークが高山です。)