篠山(しのやま)
 〜猪も出る静寂な森林浴の穴場〜標高910m〜
 別掲の小坂山の北西に位置する山。あまり特徴のない山名が災いしてか、山登りの対象としてはほとんど聞かれることもない山ながら、意識して見ていると長野自動車道更埴ICあたりから西方に結構どっしりとした山容を見せてくれる山。また山麓の稲荷山あたりでは「篠山遊歩道案内」という割と新しい案内看板が目につくし、近年地元を中心に見直されつつある山のようだ。実際、山腹の「猪平溜池」近辺から上は「猪平ふれあいの森」として近年整備が進んでいるようで、頂上直下には立派な東屋やベンチ、また標識も丁寧に設置されている。然るに筆者が訪れた際には、「展望広場」の東屋に設置されている「猪平山営林組合」の記帳ノートを見たら、そこに一筆書き記しているほどの者はほんの数えるほどしかなかった。本文記述時点では案外まだ近隣の人々にすらあまり知られていない山域のようで、静寂な森林浴好みの向きには穴場的存在といえよう。
 この山、地形図を見ると、頂上近くまで車道が延びているので、それに車で進入すれば結構高くまで上がれてしまうのだろうが、たまたま筆者の訪問時は積雪期だったので「猪平溜池」よりはるか下から歩いて登ることになった。アプローチは別掲の城山(塩崎城址)と同様、「長谷観音」の方に車を走らせると、「猪平ふれあいの森」への標識があるので、それに従って車を走らせればよい。車で上まで上がれれば、後は前述の通り道標に従って登ればよいだけだが、「猪平溜池」のすぐ南西の縁の車道から、地形図にはないが長野市・千曲市境に沿って篠山へと延びる尾根伝いに踏み跡が分れているので、筆者はそれをたどって登ってみた。踏み跡は一部不分明な箇所もあったが、とにかく尾根伝いに高度を上げれば問題ない。そのうち道が左へトラバース気味に巻いていくようになったら、そのあたりから右手の植林地の中に入って登りつめると「展望広場」の東屋に出る。ちなみに先のトラバース道をたどっても、そのうち篠山の三角点頂上と、そのすぐ南東にある850mピークとの間の鞍部に出るので、後はそこから北西に登りつめればよいのだが… ただそのあたり、どうも猪の通路にあたっているようで、実際、筆者もそこで猪4〜5頭と遭遇し、危うく突っかけられるところだったので、あえて推奨しない。それにしても… 本当に猪が出るくらいだから「猪平」とはよく言ったものだ。
 頂上直下の広場に出れば、前述の通り、後は標識に従って登ればよいのだが、ただこの山、三角点峰の奥の峰の方が若干高いので留意のこと。もっとも、最高点ピークには送電線鉄塔がデンと据わっているので、頂上としての雰囲気は三角点峰の方がやや上か。いずれにせよ、両峰とも周囲は樹林に囲まれ展望はないので、ゆっくり憩うなら先の「展望広場」の東屋がいい。その名に違わず、四阿山や根子岳はじめ上信国境の山々がよく見渡せて爽快な場所だ。なお、登りの所要時間は「猪平溜池」から歩いても最高点の頂上まで1時間程度もあれば達するだろう。

 ← 篠山方面を望む(猪平溜池付近より)

【緯度】363236 【経度】1380436