天水山(あまみずやま)・三方岳(さんぽうだけ)
 〜長野県の最北端に位置する静寂の山々〜標高1,088m(天水山)・1,139m(三方岳)〜
 長野県の最北端、栄村の「野々海池」のすぐ東の稜線上に連なる山々。最短の登山口は野々海池の上の「深坂峠」の手前に建つ無線施設の裏にあるが、「信越トレイル」が開通した今では深坂峠から直接稜線通しの道に取り付くことも可能になった。どちらをとっても時間的には大差ない。
 静寂で美しいブナ林に覆われた稜線をたどり、若干の急傾斜を登り切って、まず達する三方岳の頂上は、山名を示す標柱と三角点標石があるだけの、狭くて落ち着いた場所だが、そこから少々天水山寄りに進んだ稜線では東から南にかけて展望が開け、所要時間の割に結構充実感の湧く山。駐車場所からここまで1時間弱。
 次いで、三方岳よりさらに東に稜線をたどり、天水山を目指す。同山は標高こそ三方岳より若干低いものの、地形図上、名実共に長野県最北端に位置していることから、知名度的には三方岳よりもずっと高い。然るに平成20年9月に「信越トレイル」が開通するまでは、三方岳から先は薮が深く、無雪期には訪問困難な状況であった。それゆえ筆者も初訪問時には残雪を利して登頂を図ったものの、三方岳から若干山稜をたどった所で残雪が切れ、猛烈なネマガリダケの薮となったため、ある時点で断念して引き返してしまったことがあった。
 以来、ずっと再訪の機会を窺っていたところ、上述の通り平成20年9月、それまで「信越トレイル」の未開通区間であった深坂峠〜三方岳〜天水山のコースがいよいよ開通したとの待望の朗報があったことから、その年の秋、早速家族全員を同伴して訪れてみた次第であるが… 三方岳から先の稜線の雰囲気たるや、それまで長いこと人の侵入を阻んできたという事実からくる「秘境」的な先入観のせいか、周囲を覆うブナ林は進むにつれてなお一層深く、一種の神々しささえ感じられるほど。どことなく陶酔したような気分での山稜歩きをしばし、やがて道が平坦になると、左へ回り気味にわずか進んだへんに天水山の頂上を示す標柱があった。樹林に囲まれた、一見地味な頂上ながら、長野県最北端の地に立った充実感はひとしお。
 以上、深坂峠から三方岳経由で天水山までの所要時間は1時間半〜2時間程度。

 ← 三方岳(天水山寄り稜線上より)

【緯度】370121 【経度】1383317
(緯度・経度は天水山に合わせてあります。三方岳は西に稜線をたどったところです。)