ノロシ山(のろしやま/ノロシ山)・舞鶴山(まいづるやま)
 〜端正な姿の戦国時代の狼煙台〜標高844m(ノロシ山)・560m(舞鶴山)〜
 ノロシ山は長野市松代の南に、端正な容姿を見せて鎮座する山。その名の通り、戦国時代の狼煙台があった山という。
 標高1,000mを割る里山のせいか、純然たる登山者は少なそう。筆者も、あまりの近さゆえ、つい最近まで訪れる機会がなかったが、実際に訪れてみたら、何か「灯台下暗し」といった感慨を覚えたほど、里山の魅力にあふれる好峰だった。
 この山の登山口は松代の長野県警察学校の近くにある「白鳥神社」の鳥居前。鳥居をくぐって登り出し、ほどなく神社前に達するが、右脇の小屋の中に市指定文化財の木造神馬の像があるので是非見て行きたい。まるで生きているかのような素晴らしい出来栄えで、必見もの。
 さらに神社の裏手から、稜線上に上がったあたりを舞鶴山という。ノロシ山から北西に延びる尾根の末端部にあたり、別段顕著なピークというわけではないのだが、砂地の美しい尾根筋で、振り返ると飯縄山などの展望が良いことや、またこの地下には有名な松代大本営地下壕の一部をなす壕があることから比較的人口に膾炙していること等を考慮し、あえて個別の山として紹介することにした次第。ノロシ山へはここから稜線伝いに登り、最後は左から回り込んで急登を突破すると達する。登山口から舞鶴山経由で約1時間半を要する。頂上は戦国時代の狼煙台址だったというだけに、樹間に飯縄山や善光寺平の眺めが良い。(注:なお、この城郭名については、長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』や『長野市誌』第12巻資料編には「ノロシ山」の名そのままで城郭扱いとして収録されている。山名と城郭名とが全く同名というのも妙な気がしたので、本項では当初、『長野縣町村誌 東信篇』中「西條村」の「古跡」の項の表題の「烽火臺址」という記載や、また『長野市誌』の城館跡一覧表の「性格」欄の記載により、便宜上「ノロシ山烽火台址」として紹介した。しかし、その後入手・参照した新人物往来社刊『日本城郭大系 8 長野・山梨』や、郷土出版社刊『定本 北信濃の城』『探訪 信州の古城』、宮坂武男氏著『縄張図・断面図・鳥瞰図で見る 信濃の山城と館 第2巻 更埴・長野編』等では、いずれも「ノロシ山」のまま掲載していることから、本項でもそれらとの整合を考え、単に「ノロシ山」として紹介するよう改めたところである。)
 なお、帰途は舞鶴山から白鳥神社への下り道を誤らないよう注意。さもないと、警察学校のフェンスの際に下ってしまい、警察犬に一斉に吠えられるハメとなる。実は筆者もこれをやり、係の警察官に睨まれてしまった(!)。

 ← 白鳥神社の木造神馬(舞鶴山の中腹にある)

【緯度】363216 【経度】1381258