春日山(かすがやま/春日山城址)
 〜頂上部は公園整備され北アルプス展望の地〜標高752m〜
 長野市七二会にある戦国時代の山城址(春日山城址)の山。
 この山城址、『長野市誌』第12巻資料編の「第3編 城館跡・条里」の一覧表中に「春日山神社が位置する場所が主郭と思われ、神社北側に曲輪と思われる平坦がある。」旨の記載があるものだが、それ以外の文献資料中には『長野縣町村誌 北信編』も含めて記事がみられない地味な存在。特に現時点で信州の山城に関するバイブル的文献である長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』には収録されておらず、また本文記述時点で最新文献と思われる湯本軍一氏監修『信州の古城―城跡と古戦場を歩く―』(2007年11月18日郷土出版社刊)の「北信濃の諸城一覧」中にもなぜか掲載されていないという点で、他の多くの山城址とは一線を画する存在といえる。(注:もっとも類似例はこの近辺の他の幾つかの山城址にもみられる。私のような素人にはよく判らないが、学者先生の世界では、そこが真に山城址なのかどうかという判断をも含め、見解の相違がある城址なのかも知れない。)
 ともあれ、実際に現地に訪れてみると、この山、意外にも頂上付近一帯は「春日山公園」として整備されており、東屋や周辺の展望図なども設置されている。無雪期ならここまで車で上がれるし、また展望図があるくらいだから、晴天下なら北アルプス方面の展望が良好。鳥居をくぐり、「春日山神社」の境内に入ると、「春日山城跡」の標柱があり、付近には宝徳元年(1449年)に領主の春日氏が寄進したという古い石造常夜灯がある。そして神社の社殿の周囲には確かに『長野市誌』の記述通り郭とおぼしき人工的な削平地がみられ、付近の最高点である土塁とおぼしき盛り上がりの上には「木花開耶姫命」の石碑が安置されている。
 そんなわけで… 車ですぐ頂上手前まで上がれてしまう地ゆえ、「山」としては多分に物足りない面はあろうが… それでも家族連れ(特に幼少の子供連れ)での訪問とか、また歴史探訪も兼ねての訪問の場合なら、相応に楽しめる場所であろうと思う。それに前述の北アルプス方面の展望という魅力もあるので、是非晴天下に訪れてみたいところだ。アプローチは国道19号線を長野から松本方面に向かい、「瀬脇」の交差点で右に折れて七二会方面に上がる。七二会中心部の「市場」集落上部の丁字路は左へ。400mほど進んだへんの分岐も左に進み、赤芝集落方面を目指せば、やがて「遠見下」のバス停の近くに岩草区の大きい案内看板があるので(注:平成20年3月16日現在)、それを参照すれば難なく到着できる。

 ← 「春日山公園」の北アルプス展望図と東屋(春日山頂上付近にて)

【緯度】363733 【経度】1380352
(上戸倉集落のすぐ東にある752m標高点と神社表示のある峰です。)