太郎山(たろうやま)・滝窪山(たきくぼやま)・城ノ峰(じょうのみね/春山城址)
 〜小規模ながら両峰で双耳峰をなす〜標高997m(太郎山)・950m(滝窪山)・635m(城ノ峰)〜
 太郎山は東信エリアの上田市にも同名の山があるが、上田市のそれが「上田市民の山」として親しまれているのに比し、こちらは標高も1,000mを割っている上に登山者も少なく、知る人ぞ知る寂峰という感が強い。
 また、滝窪山は太郎山の北西の稜線伝いにあり、太郎山より40mほど低いが、山麓から見ると太郎山と並び、小規模ながら双耳峰をなす。両峰とも国土地理院の地形図に山名表示がないこと及び両峰間はほんの500mほどしか離れていないことから、筆者は便宜上、先に名前がわかっていた太郎山の方を「本峰」、滝窪山を「北峰」と称していたが、その後発刊された伊部高夫氏の名ガイドブック『長野県北信・東信日帰りの山』(章文館刊)によれば、「北峰」には「滝窪山」という山名があるとのこと。もっとも、実際に行ってみると、両峰間の稜線上はヤブがキツく、近いくせに簡単には往来できない。そのため筆者も、実は両峰を同時にではなく、日を変えて別々に登頂せざるを得なかった。
 登るのは太郎山の方が楽。「山新田」集落上部の林道を南にたどり、保科へ抜ける峠に駐車し、西に尾根をたどってほんの30分ほどで登頂する。展望は存外良く、北信五岳や善光寺平、間近に奇妙山などが良く見渡せる。
 一方の滝窪山は、筆者は頂上から北西に延びる尾根の末端のコンクリの石段から登り始めたが、こちらはほとんど平地から登り出すので、そこそこに登りでがある上に、途中からは倒木なども多く薮がちな中に踏跡を拾う、案外侮り難いルート。一般には、途中で尾根を垂直に横切る送電線の巡視路を活用して登った方が無難だろう。昔の山城(春山城)の本丸跡「城ノ峰」を経由し、さらに薮がちで進み難い道を根性で高度を上げ、2時間ほどでようやく登頂したが、そこは標識もなければ周囲を樹林に囲まれ展望もなく、頂上としての雰囲気は今一つ。なお、筆者訪問時には、試みに間近に見える太郎山への稜線を若干たどってみたところ、密生する薮に見事に撃退されて終わったが、最近の里山見直しの機運の高まりにより、現在では道が開かれている模様である。

 ← 長野市と太郎山俯瞰(熊窪山方面より)

【緯度】363549 【経度】1381629
(緯度・経度は太郎山に合わせてあります。滝窪山、城ノ峰へは北西に稜線をたどります。)