三沢山(みさわやま)
 〜「沢次郎せぎ」の哀話に襟を正す思い〜標高1,505m〜
 筆者の自宅から比較的近い志賀高原近辺のエリアの山々の中にあって、この三沢山は、不覚にもつい最近まで登り残してきた。然るにここは、予想以上に素晴らしい山だった。結構登りでがあり、展望も良好な山ながら、あまり人にも知られず、静寂の中にある山。しかも「沢次郎せぎ」の哀話に代表される、地域の人々との長い結びつきの歴史があり、その痕跡を山中の随所に見出すことができる山… 特に後者については、登山道中途で目につく「沢次郎せぎ」の遺構が興味深い。これは、明治時代の工事により、上州側の「ガラン沢」から「草津峠」の隧道経由で三沢山麓の集落に農業用水をひいた遺構であるが、草津峠の隧道工事では火山性の毒ガスのため、多くの犠牲者を出したという話が伝わる。そんな事前知識をもって遺構を見るにつけ、今は荒れ果ててしまったとはいえ、往時の地域の人と山とのつながりの深さを思い知らされる。
 そんな山だけに、外部からいきなり訪れた筆者としても、一種「襟を正す」ような思いとともに、登り出さざるを得なかった。登山口は、菅の集落の上部の「林道菅入線」を入った終点。そこから頂上まで2時間弱。

 ← 三沢山頂上直下にて(石祠などが山麓を見下ろすようにして立つ)

【緯度】364153 【経度】1382528