薬山(くすりやま)
 〜「ブランド薬師」で有名な信仰の山〜標高689m〜
 地元では山というより「ブランド薬師」と言った方が通りの良い山。「ブランド薬師」とは、この山の頂上直下中腹の岩壁の縁に建立されている「八櫛(やくし)神社」の俗称で、筆者は幼少の頃、この社はかつて安定が悪く、人が乗ると社殿がブラブラ揺れたので、この異名を頂戴したと複数の人から聞かされたが、本当だろうか? ちなみに『長野縣町村誌 北信篇』の「北郷村」の「山」の項中「藥山」の記述の中や「名勝」の項では、「ブランド」に「鳳鸞洞」「浮蘭土」「鳳蘭戸」等の字をあてているが…
 この山の登山口は、南北双方にあるが、一般には長野市浅川沿いの「浅川ループライン」手前を左に折れてすぐの鳥居をくぐって登り出すのが順路。この道は「十三仏」の登拝路になっており、1番:不動明王、2番:釈迦如来、3番:文殊菩薩、4番:普賢菩薩、5番:地蔵菩薩、6番:弥勒菩薩、と次々に路傍に現れる石仏に参拝しつつ進み、7番目に例の「八櫛神社」に到着する。それまで「菩薩」や「如来」と仏の範疇だったものが、なぜ7番目でいきなり神になるのか、妙に思われようが、実はここ、かつては「薬師如来」として信仰されてきたのだが、後に本尊の石像を調べたら神像と判明したため、神社に変えたのだという(!)。それはともかく、そこからは当然、長野市街の展望が良好。
 神社に参拝したら、後は最高点を往復。8番:観音菩薩、9番:勢至菩薩、と過ぎ、10番:阿弥陀如来のあるあたりが最高点。特に頂上を示す標識はない。ここまで登山口から約30分程度。これに参拝したら往路を戻ってもいいが、時間があれば残る11番:阿閃如来、12番:大日如来、13番:虚空蔵菩薩、と拝んで十三仏参拝を完成するのもよい。

 ← 八櫛神社から見る薄暮の長野市街(薬山山中にて)

【緯度】364122 【経度】1381120
(「ブランド薬師」のある689mのピークが、本項で紹介する薬山です。)