城山(じょうやま/北郷本城址)
 〜高坂氏が築いた山城址との伝承が残る〜標高748m〜
 長野市の浅川から飯綱高原に上がる途中の北郷集落付近にある、戦国時代の山城址(北郷本城址)の山。この城址、『長野縣町村誌 北信篇』中「北郷村」の「古跡」の項に記載がありながら、何故か長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』には記録がないという特異な存在ながら、『長野市誌』第12巻資料編では市内の主要城郭のひとつとして各説に採り上げられており、一見地味ながら見逃し難い存在。ちなみに先の『長野縣町村誌』によれば「里俗高坂氏の築く所なりと云ふ。」とのことだが、本当のところは未だに詳細不明のようだ。
 また、山名については国土地理院の地形図上は表示がないが、先の『長野縣町村誌』や『長野市誌』の記述から、地元では「城山」と呼称されてきたことが判る。
 この山に訪れるには、長野市浅川沿いの「浅川ループライン」を上がり、北郷集落のやや手前付近に達したへんで左に折れて北浅川の対岸に渡り、後は細い道を道なりに進んで、最も高くまで上がったと思われるあたりで、すぐ左手の山稜に取り付く。それが城山頂上から西に派生する尾根の末端で、後はそのまま尾根通しに登るだけ。この山、以前は相応に登る人もあったとみえ、尾根上には結構明瞭な踏跡があるが、しかし最近はあまり訪れる人もないらしく、筆者の訪問時にはやや鬱陶しい薮の中の進行を余儀なくされた。もっとも距離的には短いので、尾根筋を外さなければ全く心配なく、そのうち堀切や郭の遺構を見て、最後に主郭直下の切岸を登り切ると、そこが主郭背後の土塁の上の最高点。登り口から頂上までの所要時間はほんの20〜30分程度。筆者の訪問時点では例によって周囲は樹林で展望もなく、頂上一帯は一面の笹原で、標識一つない地味な場所だったが… それでも山城址探訪の愛好家や寂峰趣味の者には相応に興味深い場所であろう。

 ← 北郷本城址の城山を望む(北郷集落の北郷古城址付近より)

【緯度】364154 【経度】1381050
(北郷集落の東南東の北浅川右岸に沿った748m標高点峰が、本項で紹介する北郷本城址です。)