冠着山(かむりきやま/冠着山砦址)
 〜「姨捨山」として古来より有名〜標高1,252m〜
 いわゆる「筑北三山」(冠着山、四阿屋山、聖山)の中の一峰で、標高的には平凡ながら、見る方向により美しいドーム状の山容を示す山。別名「姨捨山」としても名高く、また北麓の「長楽寺」は観月の場所として「田毎の月」の名とともに有名であるなど、古来より名を知られてきた名山。当然、そんな風流さを昔の人が見逃すはずはなく、古今集所収の和歌「わが心なぐさめかねつさらしなやをばすて山に照る月を見て」をはじめ、古くから多くの詩歌に歌いこまれてきた。
 さらにまた、この山、宮坂武男氏著『縄張図・断面図・鳥瞰図で見る 信濃の山城と館 第2巻 更埴・長野編』(戎光祥出版刊)や、郷土出版社刊『定本 北信濃の城』(注:同書中「小虫倉山城」の項中における関連記述)によれば、中世の砦址(物見台、あるいは狼煙台)であるという。そう言われて見ると、確かに頂上付近には土塁らしき遺構が見られる。もっともこの砦址に関し、特に明確な歴史的記録が残されているわけでもないようだが、それでも標高1,200m以上という高標高のこの地まで、砦を築かねばならなかった往時の情勢が慮られて興味深い。
 登るには、筑北村(旧坂井村)四十八曲峠より、又は麻績村一本松峠より、林道経由で登山口まで車で入れば、そこから頂上まではほんの30分ほどで達することができる。頂上には素朴な神社があり、周囲の展望も比較的良好。家族連れでのハイキングなどに大変好適な山といえる。

 ← 冠着山(「一本松峠」方面より)

【緯度】362807 【経度】1380623