井上山(いのうえやま)
 〜地味で不遇な1等三角点の山〜標高780m〜
 須坂市の西、長野市との境界線上に位置する、1等三角点の山。1等三角点というと、さぞかし頂上からの眺めも良い顕著なピークかと思いきや、いざ登ってみると、頂上付近は案外南北に平坦で、三角点標石は最高点よりもやや北に据え付けられており、また展望も樹木が邪魔をして期待したほどには良くない。おまけに、国土地理院の地形図上も山名が明確でないという不遇さ… 登行ルート途中に「小城」「大城」という、戦国時代の井上氏の山城址があるので「城山」とでも言うのかとも思ったが、伊部高夫氏著『長野県北信・東信日帰りの山』(章文館刊)によれば「井上山」の呼称を採用しているので、ここでは一応筆者もそれに従うことにする。
 以上のような風変わりな山ながら、なおかつ、訪れる価値は十分ある山だ。というのは、この山、麓から頂上までの間において、前述の通り戦国時代の山城の址を見られることや、また登山口付近では天然記念物に指定されている珍しい「井上の枕状溶岩」を見られるなど、歴史面や自然面において、結構見所ある山だからだ。登るには、上信越自動車道の須坂長野東ICのすぐ北東に張り出している尾根の突端あたりの登山口から、「小城址」「大城址」経由、頂上まで約1時間半程度もあればよいだろう。筆者が訪れた際には、たまたま大城址付近の山中に、マンジュシャゲの異様なまでに鮮やかな赤い花が、ひっそりと咲き誇っていたのが非常に印象に残っている。

 ← 井上山頂上三角点(最高点のやや北)

【緯度】363717 【経度】1381716
(温湯集落の東の771.3m三角点ピークが、本項で紹介する井上山です。)