五百山(ごひゃくやま)
 〜信州新町中心部の裏山の静寂の峰〜標高670m〜
 信州新町中心部のすぐ北の裏山にあたる山。標高的には平凡ながら、変わった山名ゆえに何となく興味を惹かれる。またそれゆえに、何らかの伝承を伴っていそうな気がするし、地元の人々にも親しまれていそうな気がするのだが… 現時点で筆者の手元にある文献資料の中には特段の民話伝説等の記事は見出すことができず、また山自体も実際に訪れてみると、今やほとんど訪れる人もなさそうな静寂な雰囲気の中にあって、少なからず意外な感を禁じ得ない。何故だろう? せめて山名の由来くらいは知りたいところだが… 五百とくれば「五百羅漢」を連想するので、あるいは何らかの信仰の名残をとどめる名なのかと思ったりもするが、筆者の調査範囲では地元の人も何故か一様に知らないと言っている。
 そんな風変わりな山へのアプローチはいくつかありそうだが、筆者は国道19号線から犀川に架かる「穂刈橋」のたもとで犀川左岸沿いに西に延びる道に入り、さらに北に細い車道を上がって、山稜上の道に突き当たったところで右(東)へ進んだ。これでいくと、実のところ頂上の直下まで車で入れてしまうのだが、ただ… 何分先に述べたような次第であるので、当然登り口は判然としないので、後は地形図を頼りに、薮をかきわけて目ぼしいピークに順次登っていくしかない。というのは、この山、地形図上では東西500〜600mに及ぶ山稜上にいくつかピークを持ち、三角点は東端の峰(659m)にあるが、最高点は西端の峰(670m)であり、案外紛らわしいからで、要するにこういう場合は東西通しで全部登ってしまえばよいというわけ。所要時間的にもさほどではないし、稜線上に出れば一応昔の道形らしきものもある。ただ、稜線のほぼ中間あたりを車道が横切っているので興ざめ。
 登り口の一応の目安としては、山稜上の車道を東へ進むと、そのうち左に別の車道が分岐している地点に出るが、そのすぐ上の峰が最高点峰。分岐点のすぐ手前の路傍に、小屋がかけられた変わった石仏があるのが目印になるだろう。後は適当に歩きやすいところを選んで頂上まで登りつめればよい。頂上には石祠が2つ祀られており、いかにも里山の頂上といった雰囲気だが、樹林に囲まれ闊達な展望は望めない。多少なりとも展望を得たいなら、ここよりむしろ東の三角点峰の方がいいだろう。樹間に別掲の聖山方面とか、眼下に新町の町並みなどをかろうじて見渡せるが、こちらはさらに訪れる人も少ないらしく、三角点の周囲はやや薮がきつい。以上両峰通しで歩いても、時間的には車道から30分程度もあればよい。
 なお、この五百山から西に続く山稜上には、他にも中世の山城址という「中山城址」とか、また「豊受神社」のある峰など、ちょっと気になる峰々が点在している。いずれも車道からほんの5〜10分もあれば登れる峰ばかりなので、時間と興味があったら立ち寄ってみてはいかがであろうか?

 ← 石祠(五百山最高点の頂上にて)

【緯度】363429 【経度】1380017