旭山(あさひやま/旭山城址)・富士ノ塔山(ふじのとうやま/富士ノ塔砦址)
 〜朝な夕な長野市民に親しまれる山々〜標高785m(旭山)・992m(富士ノ塔山)〜
 旭山は、長野市の中心市街地あたりから見ると、西方に非常に端正な三角形の山容を見せ、いやでも目を惹かれてしまうほど目立つ山で、この点「長野市民の山」とでも言うべき存在。それだけに、頂上から東にやや下った所にある展望台からの長野市街の眺めは素晴らしく、戦国時代には山城(旭山城)も設置されていた。それも並のレベルの山城ではなく、南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)によれば、天文24年(1555年)、甲斐の武田信玄の守兵がたてこもるこの城を、越後の上杉謙信が百日にわたって攻めたが、どうしても落ちず、以後も幾度となく両者の争奪の対象となったという堅固無比の地。
 この山の南の中腹にある「朝日山観世音」は学業成就に霊験あらたかといわれ、受験シーズンには多くの受験生の来訪で賑わうことでも有名。ただ、実はこの観世音様、以前〜私が中学生位の頃まで〜は裾花川畔の中部電力蒲「島発電所からの登山道中途の岩窟の中に安置されていて、大変風情あふれる情景を見せていたのだが… そこまでの道には若干急峻な箇所があって、受験生の転落事故が続発したことから、現在ある南の観世音堂に移転されてしまったという経緯がある。安全上やむを得ない措置とはいえ… 今はその岩窟もがらんどうで、当時を知る私には、何だか寂しいものを感じる。それゆえ私は、本文記述時点で、大学時代に訪れたのを最後に、その里島発電所からのルートは利用していないのだが… それでも未訪の方には、できれば一度はこのルートから登ってみてほしい。発電所脇から頂上まで1時間余で達する。
 なお… 私は最近では南の車道を朝日山観世音堂のやや上まで車でたどり、駐車後頂上まで徒歩わずか20分程度の安易な道をもっぱら利用しているのだが… さすがにそれだけでは物足りないので、その後によく訪れるのが、旭山からさらに南にある富士ノ塔山である。
 富士ノ塔山は、標高的には旭山より優るが、旭山からの車道が頂上直下を通じているので、そこまで車で入れば、後は徒歩わずか5分程度で登頂できるという、旭山以上の手軽さ。頂上は例によって戦国時代の砦址(富士ノ塔砦址)であるといい、現在「浅間神社」の社殿がある背後には確かに低いながら土塁の痕跡がみられる。展望は長野市南部や戸隠連峰などを望めて比較的良好。ちなみに、筆者は小学生時代に遠足で長野市安茂里方面からの道を上がって登頂したことがあるが、いずれ再訪してみたいルートである。

 ← 旭山を望む(長野市内の中央郵便局前より)

【緯度】363915 【経度】1380947
(緯度・経度は旭山に合わせてあります。富士ノ塔山はその西に位置しています。)