愛宕山(あたごやま)
 〜一見目立たぬ山ながら往時の信仰の痕跡が〜標高990m〜
 長野市上ケ屋の「大座法師池」のすぐ南東にある小峰。「戸隠バードライン」の地形図上「入坂」と記されているあたりから山容がよく眺められるが、一見ただの小丘に見えるので、何の事前知識もなければ、普通わざわざここに訪れてみようなどという向きはあるまい。が… 実はこの山、意外にも頂上に石祠が祀られており、また頂上直下には石碑もあることから、かつては信仰の山であったことが知れる。おそらくは山麓の門沢集落あたりの人々の信仰を集めていたのだろう。ちなみに三省堂の『日本山名事典』にも、しっかり掲載されている。
 この山の登り口は、同山のすぐ東側の、戸隠バードラインのフェンスが切れている所なのだが、事前知識なく突然訪れた場合は標識もないので、まず判るまい。ちなみに筆者の訪問時点ではフェンス基礎のコンクリート部分に「41」と青ペンキで記されていた(注:何の意味かは不明だったが)。ルートはそこからフェンスの内側に入り、しばらくフェンスに沿って歩けば、そのうち比較的明瞭な道が左にジグザグに斜上していくので、後はそれをたどればよい。もっとも、距離的にはバードラインから頂上まではほんの100〜150mほどしかないし、また車道脇の歩行スペースも狭く、車の交通量によっては危険なので、やや大座法師池寄りの道路脇のスペースに駐車の上、北側の尾根伝いに上がってもよい(注:筆者はこちらのルートから登り、帰りは東のフェンスの縁に下りた)。そちらからでも、山稜上には一応か細いながらも踏跡があるので、登行に支障はない。
 距離的に短いので、頂上までの所要時間は片道ほんの15分程度もあれば十分。頂上直下には前述の通り石碑が1基あり、また頂上には石祠が同じく1基安置されている。頂上周辺は意外にも下草が少なく、すっきりしているので、あるいは地元の人々によって年々手入れされているのかも知れない。頂上周囲は樹林に囲まれ、展望的には優れないが、それでも樹間から、長野市街地方面の俯瞰や、さらのその背景をなす保基谷岳などの山々がかろうじて見渡せる。なお、山名からして頂上の石祠はおそらく愛宕神社だろうが、石碑の方は、表面に何か文字が刻印されているものの、筆者の訪問時には既に夕刻が迫っていて薄暗く、残念ながら文字は断片的にしか判読できなかった。

 ← 長野市上ケ屋の愛宕山を望む(「戸隠バードライン」の「大座法師池」寄りの地点より)

【緯度】364146 【経度】1380913