大洞山(おおほらやま/筑北)
 〜付近の要衝的位置を占める好展望の峰〜標高1,316m〜
 長野自動車道を長野から松本方向に南下してゆく際、「立峠トンネル」にかかる少し手前のあたりで、左方に目につく気になる山。筑北村(旧本城村)と松本市(旧四賀村)との境に位置し、地形図上で見ると、その密集した等高線の様子からして結構堂々たる山容の山であることが一目瞭然、また標高的位置的にも、西方の北アルプスはじめ周囲の山々の好展望台であることが容易に想像つくであろうし、さらに実際に訪れてみても、頂上付近からの展望たるや… 北アルプス白馬連峰、後立山連峰、常念山脈、穂高連峰、鉢盛山、中央アルプス連峰、浅間山… といった具合に、周辺のおもだった山々をほぼ網羅するほどの素晴らしさ! そもそも頂上付近にマイクロウェーブ反射板が設置されているという事実一つとっても、この山が付近のいわば要衝的位置を占める山であることは疑いないのであるが、その割に名を聞くことがない。何故なのか… その理由はいくつか考えられようが、案外最大の理由は、この近辺の山々の多くがそうであるごとく、この山もまた茸山であるらしいことが関係しているのかも知れない。それゆえ、この山に訪問しようとする場合、無用の紛争防止のためにも、夏季〜秋季の間は避ける方が無難だと考える。
 そんなわけで、この山への登路については、筆者には事前情報が皆無に等しかったため… 地形図上で検討の結果、国道143号線の「会吉トンネル」のすぐ西側の空地に車を駐め、そこからまず稜線上に上がり、さらに稜線伝いに西進して登ってみることにした。訪問前はある程度の薮漕ぎも覚悟の上だったが、いざ行ってみると、薮は大したことはなく、踏跡も案外はっきりしている。道は最初のうちこそ変化に乏しい松など針葉樹林の中を行くが、やがて途中の急登を突破して上部まで達すると、雰囲気はそれまでとは一変して、明るく見通しの利く広葉樹林の落葉を踏みしめながらの爽快な登行となる。急登が尽きてわずか西に進むと、突然眼前に前述のマイクロウェーブの反射板が出現して驚かされるが、その柵の縁あたりからは、前述の通りの素晴らしい展望が一気に開け… ことに西方にひときわ立派な常念岳が目を惹く。三角点のある頂上はそこから北西にわずか進んだ所にあり、ここはさすがに樹林に囲まれているが、それでも北側の稜線をわずか下りてみると、今度は列状間伐の切れ間から、先の反射板のピークでは樹林の陰となって見えにくかった北アルプス白馬連峰や後立山連峰の雄姿が…
 以上、「会吉トンネル」付近の取付点から頂上までの所要時間は、筆者の場合は約1時間。なお、頂上から北及び西に派生する稜線上にも明瞭な踏跡があったので、そちらからの登行も可能のはずだ。次回の訪問時には、是非西方の「風越峠」からの道をたどって登頂してみたい。
 (注:なお、「大洞山」という名の山は他にもあり、同じ中信地域でも北安曇の松川村と大町市との境に同じ字の山があり紛らわしいため、見出しには混同を避ける意味で山名の後に所在地域名を付して紹介した。)

 ← 筑北村・松本市境の大洞山を望む(青木峠付近より)

【緯度】362239 【経度】1380223