奥三界岳(おくさんがいだけ)
 〜幽玄な黒木の森の人外境〜標高1,811m〜
 何やら、一種抹香臭い先入観を抱いてしまうような名を有する山だが、登ってみると、ある意味で確かにさもありなん、と思わせられるような、深山のイメージが強い山域。そのことは、たまたま筆者が登った際に生憎の雨天だったせいばかりでは決してあるまい。
 この山に登るには、岐阜県中津川市川上(旧川上村)の「夕森公園」の奥にある「銅穴の滝」を経由するルートと、「丸野林道」ゲートから林道を歩くルートがあるが、「銅穴の滝」ルートも、結局は途中で林道ルートと合流する。時間的にはどちらをとっても大差はなさそう。ただ、林道ルートを採れば、ゲートから延々2時間ほどにも及ぶ林道歩きを余儀なくされ、退屈極まりない。あえて言えば、このアプローチの退屈さばかりは、この山の欠点であろう。
 もっとも、そんな退屈さも、ようやく林道から離れて本来の登山道に入れば、一気に払拭される。檜などの黒木主体の幽玄な森林、頂上直下の「夕森庭園」と呼ばれる湿地帯… ことに「夕森庭園」では、季節を選べば思いがけずミズバショウの可憐な花に出会えることだろう。林道を離れてから頂上までは約1時間半ほど。

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【緯度】354053 【経度】1373025