鳴雷山(なるかみやま/鳴雷城址)・松台(しょうだい/松台烽火台址)・
 比叡ノ山(ひえいのやま/比叡山砦址)
 〜「平出遺跡」近くにある素朴な山々〜標高1,092m(鳴雷山)・1,160m(松台)・809m(比叡ノ山)〜
 塩尻市の、有名な「平出遺跡」の近くにある山々。鳴雷山は、南信エリアの方に収録した霧訪山の北西に位置する信仰の山で、頂上には「鳴雷神社」が祀られているが、長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』によれば、実はここは戦国時代の山城址(鳴雷城址)でもあるとのこと。ところで国土地理院の地形図を見ると、神社の地図記号と「鳴雷山」の山名表示が記されたピーク(標高1,092m)の東に、標高1,160.3mの三角点ピークがあり、筆者は最初、こちらが鳴雷山の頂上かと思っていたが、諸々の状況から、三角点ピークよりはやや低いが、やはり1,092mの峰が本来の鳴雷山であると判明。また一方の1,160.3m峰は、他に何か山名はないのかどうかと調べてみたところ、先の長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』により「松台烽火台」という戦国時代の烽火台の址であることが判明した(注:山名も同じ「松台」かどうか、当初は確信が持てなかったが、その後の調査結果、山名も一般に同様に呼称されているようなので、そのように表記することにした)。このように一見無名の山でも、慎重に調べてみると意外な「顔」が表れてくることがあり、そんなところがまた、寂峰趣味の一つの醍醐味ではある。で… これら両峰に登るには、北麓の床尾集落の登山口からがよく、徒歩1時間ほどで鳴雷山頂上に達する。また松台の方は、筆者の場合は前述の通り、当初こちらを鳴雷山だと誤解していたので、はからずも鳴雷山とは別に登ってしまったのだが、地形図上で見る限り、鳴雷山から稜線伝いに1kmほどしかないので、併せて登る場合は、まあ30〜40分程度プラスして所要時間を見込んでおけばよいだろう。
 なお、これらの山々のほぼ真北、「平出遺跡考古博物館」の脇にぽこっと盛り上がる「比叡ノ山」という小丘がある。この峰、小さいながら、例の長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』によれば、これまた戦国時代の砦の址(比叡山砦址)であったといい、また他にも鍾乳洞や東麓の名水「平出の泉」など、見所の多い好峰だ。こちらは、先の考古博物館あたりに登山口があり、頂上まではほんの10〜15分もあれば達するという手軽さゆえ、子供連れの軽いハイキング等に好適であろう。

 ← 鳴雷神社(鳴雷山頂上にて)

【緯度】360503 【経度】1375558
(緯度・経度は鳴雷山に合わせてあります。そこから松台は東、比叡ノ山は北にあります。)