傘山(からかさやま)
 〜その名のごとく傘のような山容〜標高1,125m〜
 今は平成の市町村合併により松本市となった、旧四賀村にある山。別掲の富士塚山のさらに東に位置し、標高的にはその富士塚山よりさらに200m近くも高く、また山容的にも、山麓の穴沢集落方面から望むと、正にその名のごとく傘のような特徴的な姿を見せてくれる、筆者のような地域の素朴な里山好みには実に見逃し難い山。然るにその割には実際に訪れてみても、筆者の訪問時点では案外道らしい道も見当たらず、殊に頂上への最後の登りでは予想以上に薮がちな急斜面の登行を余儀なくされるなど、少なからず意外な感を受けたところ。頂上付近では、まるで主のように太い松の木や、「唐傘山の風穴」なる標識のある穴、また小祠まで見られるだけに、地元の人々の生活に密着した山だと思われるのだが… 先の「唐傘山の風穴」の標識にも「平成五年四月十一日 祭典係一同」と記されていることからして、地域の祭礼とも浅からぬ関わりがあるはずだし。あるいは平成5年以降、何らかの事情で道の整備がなされなかったため、たまたま筆者の訪問時点で薮がちになっていただけなのか、はたまた筆者が気付かなかった別の明瞭な道があるのか… どうも釈然としない。いずれ地元の人に尋ねて確かめてみたいと思う。
 というわけで、ここでは筆者の登ったルートを参考までに記してみることにする。旧四賀村の保福寺峠方面への車道を行き、宮前のバス停付近から北に分かれる道に入り、「春日神社」の脇を抜けて細い林道を上がると、道は一旦下り加減になって左にカーブしていくが、その少し先で右に分岐し斜上する林道に乗り入れる。ただ、ここから先は今までにもまして道幅が細く、両側から草木が迫っているので、車を傷付けたくない向きには、まずこれ以上の進入は無理ではないか。道はなおしばらく進んだ先で、また二手に分岐している地点に出るが、傷付けて構わない車でも、まあこのあたりが限度だろう。分岐の手前にかろうじて転回できるスペースがあるので、そこで車の向きを変えて駐車してから、以後は徒歩で右手の林道を進む。林道はすぐに終点に達し、さらに上方に見える送電線鉄塔を目安に樹林の中に分け入るが、最初のうちは案外明瞭な道形があるので、しばらくはそれをたどって高度を上げる。送電線が頭上にさしかかってくるあたりから、どうも踏跡が怪しくなるが、すぐ先で送電線巡視路に突き当たるので、ここはとにかく前面の薮を突破した上、巡視路伝いに傘山頂上のすぐ西のピークの送電線鉄塔まで登りつめる。目指す頂上は、そのすぐ東にあり、距離的にはほんの200m程度の短距離なのだが、その間、またしても薮がちな急斜面の登行を強いられることは前述の通り。しかもこの薮、時折茨が混じっており、存外鬱陶しい進行を余儀なくされるが、それでもこれを突破すれば待望の頂上に達することができる。頂上付近で目につくものは前述の通りであるが、「風穴」の詳細については現時点で筆者には不明。三角点標石は小祠のすぐ先に見出せる。
 なお、この山、下部と送電線巡視路を除いては明瞭な道形が見当たらず、おまけに獣道とも茸採りの道ともつかない踏跡が錯綜するので、下りの際には十分注意されたい。さもないと駐車場所に戻れなくなる。実は筆者の訪問時にも、日没が迫って周囲が薄暗くなってゆく中、不覚にも尾根を一本北に間違え、穴沢集落側に下ってしまうというヘマをやらかしたので…(!) もっとも、これは杞憂だろうが…

 ← 傘山を望む(山麓の穴沢集落付近より)

【緯度】361931 【経度】1380130
(明瞭な道が見当たりませんので、後はルートの選択次第と思われます。)