雷山(かんだちやま)・810m峰(雷山の東の峰)
 〜気になる山名の割に徹頭徹尾地味な山域〜標高731m(雷山)・810m(810m峰)〜
 旧明科町(注:平成の市町村合併で今は安曇野市)にある、地味で目立たない里山。別掲の長峰山のほぼ真北に位置する。
 「雷山」はカミナリヤマではなく、国土地理院の地形図によると「かんだちやま」とのこと。その面白い山名が、何やら地域の言い伝えと結びついていそうに感じられるのだが、残念ながら本文記述時点で筆者の手元にある文献中には関連記事が見当たらない。また標高731mという低山である上に、特にはっきりした登山道があるわけでもないせいか、ほとんど訪れる人もないようなのだが… 実はこの山、長野市側から篠ノ井線の電車で松本市方面に向かう際、電車が松本平に入る手前で最後に抜けるトンネル(「第一白坂トンネル」)の直上の山という、ある意味では要衝的位置を占めている山なのだとは、案外知る人も少ないのではないか。
 この山に登るには、前述の通り特に登山道らしい道があるわけでもなく、また筆者の訪問時点では標識はおろか目印テープすら目につかなかったので、筆者の場合は国道19号線の「木戸橋」の犀川右岸側から、筑北村方面に分かれる国道403号線に入り、ほんの200mほど進んだ所ですぐ右折、尾沢集落への道を500mほど上がると、尾沢集落手前のへんで右に踏跡が斜上している地点があるので、その付近の道脇のスペースに駐車し、件の踏跡から登ってみた。その道は別に登山道でもないらしく、しばし歩いて石仏が目についたあたりの上部では踏跡が錯綜したが、とにかく高い方を目指して登ると、やがて地図上の頂上らしい地点に達した。が… そこは相変わらず標識一つなく、ただ薮の中、樹木の幹に藤蔓がさながら注連縄のごとくからみついているだけという地味な場所。せめて昔の石祠の一つくらいは目につくのではないかと想像して登ってきた身には、少なからず拍子抜けの感を禁じ得ず。強いて言えば、人里近い割に、思いがけず静寂な山林歩きのできるエリアといったところか。
 なお、さすがにこれだけでは、「山」としていささか物足りないので、筆者の場合はさらに東に稜線をたどり、地図上810mの等高線のある峰まで進んでみた。その間の山稜上には、か細いながら踏跡はついており、また登りの途中で「山の神」らしき石祠も1つ目についたので、あるいは頂上で何らかの里人の信仰の遺跡にでも出会えるのでは… などと期待したのもむなしく、頂上ではせいぜい長野県設置の「堀平地すべり防止区域」の「標柱1号」なるものが目についたのみという、徹頭徹尾、地味な山域。ただ、こちらは先の雷山頂上に比べ、樹間に戸谷峰や鉢伏山方面の眺めが利くなど、多少雰囲気が明るい点において優れているので、もし本文を目にして、この山域に訪問してみたいというような物好きな方があれば、時間に余裕がある限り、折角だからこちらの峰にも訪問してみることをお勧めする。
 以上、両峰訪問して駐車場所まで戻っても、筆者の場合は往復所要時間せいぜい1時間半程度だった。

 ← 雷山(右の円頂)と810m峰を望む(山麓の荻原集落付近より)

【緯度】362143 【経度】1375618