岩州(いわす/高松薬師城址,白州岩,猿が城砦址,三ケ月岩ほか)
 〜見所満載の魅力の岩稜〜標高906m〜
 筆者は以前、別掲の岩殿山への道を探索している際、たまたま道を尋ねた地元の人が「ああ、イワスのことかい?」とか言って首を傾げる場面に出遭ったことがある。その時は何のことやらよく判らなかったが、それよりかなり後になって地形図を見ているうち、例の岩殿山の南の稜線続きの、生坂村と旧明科町(現:安曇野市)との境に「岩州公園」というエリアがあるのを知った。それも地形図で見る限り、「公園」というには、およそ似つかわしくなさそうな岩稜が約1.5kmにわたって続いているし、一体どんな場所なのだろうと、以来ずっと興味を抱いていた。
 実際に訪れてみると、確かに多くの岩峰が連なるエリアだが、さすがに「公園」と名がつくだけあって、道は意外なほどに安全だし、かつ全域にわたって見所も多く、なかなかどうして、我々「山登り」にとっても魅力の山域だ。なお、エリア内の個々の岩峰には固有名称があるものも多いが、どうもそれらも含めた全てを総称して「岩州」と言っているようだというのが、地元の人の話を総合した上での筆者の結論だ。それゆえ、当面ここでは個々の岩峰の名はあえて見出しに列記せず、単に「岩州」としておくが… 後日考えが変わったら改変するかも知れない。
 アプローチはいくつかあるようだが、筆者は旧明科町側の国道403号から標識に導かれて、細い林道を登り口まで入った。登り口のすぐ上が三角点のある「山の神」の社のピークで、まずはそこに参拝した上「公園」エリアに踏み込む。以下主要な見所を道順に列挙すると「蛇岩」「高松薬師城(横谷城)址」「白州岩」「投越岩」「烏帽子(猿とび)岩」「猿が城砦址」「三ケ月岩」といった具合。全行程にわたって全く飽きることもなく、しかもその間、身に危険を感じるような箇所はほとんどない。まさに「公園」にふさわしい岩の殿堂。「岩州」という名も、おそらくはそんなところからきているのだろう。
 ちなみに「山登り」の立場からすると、どうしても、どこが頂上かなどという詮索をしてしまいたくなるものなので、一応目ぼしい峰を列挙しておくと… まず公園エリア内の最高標高点は北端部の「三ケ月岩」だが、頂上というよりは単なる岩の上という感じで憩うには不向き。とはいえ、まがりなりにも最高標高点なので、本項の見出しの標高には「三ケ月岩」のそれを記載した。また「白州岩」のすぐ北の峰も地形図上は顕著だが、実際に登ってみると樹林に囲まれ展望不良で今一つ。むしろ頂上らしいのは「高松薬師城址」と「猿が城砦址」の峰で、いずれも別掲の大城の属城の址にあたる場所。前者は戸谷峰や鉢伏山などの眺めが良く、また後者は北アルプス、ことに常念岳の眺めが良い。ちなみに筆者は後者の雰囲気の方が好みだが、一般にはそこまで足を延ばす向きは少ないようで、むしろ前者の方が岩州の頂上とみなされているようだ。
 要するに、気になるピークは全て踏みながら歩けばよいということ。登り口からの所要時間は、じっくり見て歩くなら往復3時間はみておきたい。

 ← 岩州公園にある「白州岩」(かつてはここで雨乞いをしたという)

【緯度】362349 【経度】1375739
(「岩州公園」エリア内最北端の906mピークが最高点の「三ケ月岩」です。)