岩殿山(いわどのさん)
 〜京ケ倉とよく似た岩稜の山〜標高1,008m〜
 別掲の京ケ倉に近く、よく似た山容を見せる岩稜の頂点をなす山。京ケ倉と沢一本隔てた南東に位置するが、近くて雰囲気が似ているため、筆者は最初、京ケ倉を岩殿山だと思っていた。無論、実際に登る段になって、地形図に当たっているうちに両峰は違うことに気がついたが、今度は新たな問題発生。マイナーな山だけに、登山道がよく判らない。国土地理院の地形図にも道の表示がなく、筆者は機会ある度に、山麓に車を走らせては登山口がないかと偵察したが、当時は丸山晴弘氏や伊部高夫氏の手になる名ガイドブックもない頃のことで、どうも確信が持てない。しかも悪いことに、この山、地元の人に聞いても、別掲の四阿屋山の場合と同様、誰一人としてはっきりと道を教えてくれないときた。それで筆者は当時、さてはこの山は茸山だから、地元の人は道を知っていても「よそ者」にはわざと教えないのではないかと勘ぐったりしたものであった。(注:今になってみると、それはどうも筆者の勝手な思い過ごしだったようだが…) もっとも、一般にマイナーな山域であることは今も当時も変わりはなく、この近辺の山に訪れる際の心構えとしては、やはり第一に頼りになるのは自分だけだと考えて当たるべきだろう。
 結局、筆者は『信州山岳百科I』(信濃毎日新聞社編)の記述を参考とし、「横尾峠」より頂上から西に派生する尾根伝いに登頂した。峠から頂上まで約1時間。頂上自体は樹林の中の落ち着いた場所のため、展望は途中の岩稜上からの方が良かった。なお、その後、坂北側の「岩殿寺」からも道があることを知ったが、まだ訪れる機会を得ていないので、また折を見て出かけてみようと思う。

 ← 岩殿山を望む(京ケ倉方面より)

【緯度】362455 【経度】1375808